Francis Carlyle's
Homing Card
最初にStars of Magicに載っている、フランシス・カーライルの「ホーミング・カード」です。先にフレッド・カップスが演じていた同名のマジックを紹介しましたが、あれとは少し違います。
現象
観客に一組のトランプから一枚のカードを取ってもらい、そのカードの表にサインをしてもらいます。そのカードを一組の中に戻し、よくシャッフルします。
マジシャンは右手でズボンの右ポケットを引き出し、ポケットには何も入っていないことを示します。ポケットを元に戻してから、先ほどサインをしてもらったカードをポケットの中に飛行させると観客に告げます。そして「もうすでに移っていますが信じられますか?」とたずねてみます。
客が何と答えても、マジシャンは手が空(から)であるのをよく見せてから、ポケットに入れ、一枚のカードをポケットから取り出します。それは確かにサインのある観客のカードです。
このカードを一組のトランプに戻します。もう一度同じように、ポケットに移動させますが、今度は観客自身にポケットの中からカードを取りだしてもらいます。間違いなく、サインのある観客のカードです。
コメント
サーストンの3原則では、「同じ奇術を2度繰り返してはならない」となっていますが、これは2度繰り返すことで、一層不思議さが増します。勿論、これは最初から2度繰り返すことを前提に構成されているからできることです。
特別な準備もなく、すぐに演じることができますので、大変重宝です。ルーティン全体が心理的にも大変巧妙に構成されているため、常に観客が見ていることよりも先に「裏の仕事」は済んでいます。
複雑なカードマジックは、しばらくやらないと手順を忘れてしまいますが、これは1年や2年、まったくやっていなくても大丈夫でしょう。私もつい数日前、ぶっつけ本番で数年ぶりにやりましたが、問題なくできました。
解説書で読むと、たいしておもしろくもないように思えるかも知れませんが、実際に演じてみると、意外なくらい観客は驚きます。財布など、特殊な道具は不要のため、いつでもどこでも演じることのできるカードマジックとして、身につけておくと便利です。
魔法都市の住人 マジェイア