マジシャン紹介
Theodore Annemann(1907-1942)
2000/1/16 記
アメリカの天才的メンタリスト。「メンタルマジック」と呼ばれる分野があります。今ではマジック全体の中でも、大変大きなジャンルを形成しています。日本ではMr.マリックがデビューした1980年代後半から、「超魔術」という名前で知られるようになりましたが、あのようなマジックを総称して「メンタルマジック」と呼んでいます。メンタルマジックを中心に演じるマジシャンを「メンタリスト」と言います。
一般の方は、マジックという言葉から真っ先に連想するのは、マジシャンが帽子からウサギを取り出したり、スカーフから鳩を取り出すようなものかも知れません。メンタルマジックは、そのようなものとは異なっており、「予言」「透視」「読心術」「念力」「念写」などが中心になります。
アンネマンは、このメンタルマジックの分野で多大な貢献をしました。35歳という若さで亡くなりましたが、メンタルマジックの専門誌"THE JINX"を1934年から1941年まで、毎月発行していました。
アンネマンの考案したマジックのほとんどは、このTHE JINXや"PRACTICAL MENTAL EFFECTS"(1944)で知ることができます。解説はどれも簡明にポイントだけを書いてあるため、読みこなすにはある程度の知識と、相当なイマジネーションが必要です。特にメンタルマジックを本で読むと、実際の現象を見る前にタネを知ってしまいますから、正当に評価できないことがよくあります。本で読んだだけでは、そのようなことで観客をだませるはずがないと思ってしまったり、たとえタネはばれなくても、たいしておもしろいとも思えないものがあります。それが実際に誰かがやっているのを見ると、想像していた以上に効果的であることがわかる場合があります。
アンネマンが亡くなってから、今年ですでに58年が経っています。しかし、"Practical Mental Effects"は今でもメンタルマジックを研究する人にとっては「バイブル」です。アイディアの宝庫として、今も燦然と輝いています。扱うものが人の心であるだけに、100年後,200年後でも効果は変わらないでしょう。ミレニアムの今年、科学は1000年前、2000年前と比べると比較にならないほど進歩しました。しかし、人の心は1000年前、2000年前と比べても、ほとんど何も変わっていません。このことからでも、アンネマンが考案した数多くの原理や演出は、これから先も同じように効果的であり続けるでしょう。
アンネマンのマジックは、ニューヨーク在住のプロマジシャンであり、マジックショップを経営していたマックス・ホールデン(1884-1949)によって、数多く整理されています。
THE BOOK WITHOUT A NAME(Max Holden,1931)
202 METHOD OF FORCING(Max Holden,1932)
SH-H-H! IT'S A SECRET(Max Holden,1934)
CARD MIRACLES AND MENTAL MYSTERIES(Davenport,1935)
MENTAL BARGAIN EFFECTS:ELEVEN MIRACLES OF METALISM(Max Holden,1935)
EN RAPPORT(Max Holden,1937)
FULL DECK OF IMPROMPTU CARD TRICKS(Max Holden,1937)
PRACTICAL MENTAL EFFECTS(Max Holden,1944)
MIRACLES OF CARD MAGIC(Max Holden,1948)
ANNEMANN'S $50.00 MANUSCRIPT(Max Abrams,1976)
関連書に
ANNEMANN:THE LIFE AND TIME OF A LEGEND(Max Abrams,L&L Publishing,1992)
魔法都市の住人 マジェイア