マジシャン紹介
新子景視
あたらしけいし(1987-)
2026/1/29

 和歌山県出身。人が考えていることを読み取るオリジナル・マジック「ブレイン・ダイブ」を考案し、2020年頃からYouTubeを中心に人気を博しているマジシャンです。
 ブレインダイブとは、観客の脳に飛び込み、その人が考えていることを読み取るという演出のマジックで、公園やストリートなど、その場にいる一般の人に見せることを得意にしています。

 読み取るものは、マジシャンが絶対に知りえないと思えること。たとえば「初恋の人の名前」「飼っているペットの名前」「昨晩食べたもの」「推しのアイドルやキャラクター、俳優」などです。
 これをYouTubeで初めて見た人の多くは、「やらせではないか」「劇団員を雇っているのでは」と思うのも無理はありません。また一部の人は、本物の超能力者ではないかと感じるようです。

 実際にブレインダイブされた観客の反応を見ると、「初恋の人の名前」を当てられた人が悲鳴を上げたり、立っていた人が思わず後ずさりしてしまうことも珍しくありません。

 あたらしさんのマジックを見ていて、いつも感心するのは、状況をつかむのが非常にうまい点です。
 周到に準備されたマジックもありますが、その場で偶然入手した相手の情報などもうまく利用します。昔からあるトリックも適宜混ぜ、最新のハイテクを使ったもの、占い師が用いる「コールド・リーディング」や「ホット・リーディング」なども組み合わせ、全体として自然でありながら「ありえない」状況を作り出しています。

 メンタルマジックを演じるマジシャンは、日本でも海外でも数多くいますが、新子さんほどさわやかに演じる人はそう多くありません。多くのメンタリストが神秘的で意味ありげな雰囲気を前面に出すのに対し、新子さんの場合はさらっと演じるため、重苦しさがないのです。

 新子さんは、京都で上演されているノンバーバル・パフォーマンスの先駆けとも言える『ギア-GEAR-』において、創成期からのメンバーとしてマジック演出を手がけ、自身も初演時より出演していました。
 専用劇場で異例のロングラン記録を更新し、2023年3月、10周年記念イヤーの終わりとともに卒業されたようです。

 私が初めて新子さんの名前を知ったのは、2013年ごろだったと思います。「探偵!ナイトスクープ」に出演されていました。その頃は、まだブレインダイブは演じていなかったはずで、一般的なマジックを披露していました。その後もテレビにはよく出演されていたようですが、私自身があまりテレビを見ないため、いつしか記憶から遠ざかっていました。

 2019年、2020年のお正月、帝国ホテル東京の正月イベントに出演されることが、帝国ホテルから送られてくる冊子に載っていました。しかし当時の私の中では「腕の良い普通のマジシャン」という認識しかなく、東京まで観に行くことはありませんでした。(これは痛恨の極みです)

 2020年前後、コロナが流行り始めた頃から、YouTubeで新子さんの姿をよく見かけるようになりました。そこで初めてブレインダイブを見て、「なんて賢い人だろう」と思ったのを覚えています。

 新子さんが街頭で演じる際、最初に披露するのはたいてい「カードの変化」や「アンビシャス・カード」です。どちらもカードマジックでは定番中の定番ですが、あれほどの反応が返ってくることはそう多くありません。
 続く「ダイス」のマジックでは、さらに不可能性が増し、そこからブレインダイブへとつながっていきます。

 YouTubeで見る新子さんのマジックは、構成自体はほぼ同じでありながら、観客の出す「お題」が毎回異なり、当てられたときのリアクションも人それぞれなため、まったく飽きることがありません。

 現在、YouTubeには数多くのマジシャンが出演していますが、毎回、数十万回もの視聴回数を安定して取れるマジシャンは、他にあまり思い当たりません。 

魔法都市の住人 マジェイア