マジシャン紹介
ジョニー・トンプソン Johnny Thompson (1937-)
1999/9/30
アメリカのプロマジシャン。ステージ・ネームは、「ザ・グレイト・トムソーニ」(The Great Tomsoni)。
トンプソンは8歳のとき、トランプの技法書、"The Expert at the Card Table"を読んだのがきっかけで、その後、4年間かかってこの本に載っているすべての技法をマスターしました。ただ、これはマジックの本ではなく、本物のいかさま師が書いた、トランプでイカサマをするための技法書でした。この本を完璧にマスターしたものの、当時まだ12歳ですから、シカゴでも、12歳の「カードいかさま師」が活躍できる場所はありません。それで今度は、修得したテクニックでマジックを始めました。近所にあった劇場に、14歳と、ふたつ歳をごまかして出演していました。
その後、本格的なステージマジシャンとして活躍し始めた頃、メキシコ人のマジシャン、キャンツー(Canto)が鳩を使ったマジックを始めました。世界中で大ブームを作った「鳩出し」の切っ掛けになったマジックです。それに影響を受け、自分でも鳩のルーティンをやっていましたが、1950年代、チャニング・ポロックがテレビのエド・サリバン・ショーで「鳩出し」を行うのを見て、それまでの自分のスタイルを捨てました。ポロックの鳩出しには、誰もかなわないと気がついたのです。
それ以後は、正当派マジシャンのパロディとも言えるようなコメディスタイルの演技を確立しました。妻のパメラがステージでもパートナーとして登場するようになり、その後長くステージでの基本スタイルになりました。
また、彼が書いているレクチャーノート、"Polished Polish Prestidignation"(1981年)を読むと、クロース・アップ・マジックの才能も並はずれたものであることがわかります。さすがに8歳で"The Expert at the Card Table"を読み始めただけのことはあります。
日本にも何度も来ています。私は、ステージマジシャンのレクチャーにはほとんど出ないのですが、1992年に、京都に来たときはレクチャーに参加しました。これは上記のレクチャーノートを読んでいましたから、クロースアップマジックもきっと面白いと想像したのです。レクチャーの後も喫茶店でいくつかの技法などを見せてくれました。そのような姿を見ていると、歳を取っても相変わらず「マニアの血」も流れていることがわかりました。
音楽や芝居の知識も豊富ですから、最近はアドバイザーとしても活躍しています。