真田紐の焼き継ぎ
1998/8/27
最初に「真田紐」(さなだひも)というのは、壺や京指物の桐箱などにかけられる紐のことです。昔は刀の下げ緒や柄紐として使われていました。織物を織る手法で模様を入れ、袋状になっていますので大変丈夫です。それを使った古典的な「ロープカット」の一種です。
現象
長さ5,6メートルある真田紐を2本重ねて、写真のように巻いてあります。舞台の中央で、この巻いてあるロールを転がし、長い紐を2本見せます。2本を重ねたまま両端を二人の観客に持ってもらい、真ん中あたりをマジシャンが両手で持ち、その部分をローソクで焼き切ります。完全に切れたことを見せた後、一度、焼き切った部分を結びます。扇子を取り出し、結んだ部分をあおぐと、結び目も消え、2本とも完全な紐に復元しています。観客に紐を渡して、あらためてもらって終わります。
コメント
真田紐は、現在も京都では制作されていますが、用途が限られていますので、それほど大量には出回っていません。また、工芸品に近いので、これをマジックに用いるのは高価すぎると思われているのか、ここ30年くらい、マジックで使われているのを見たことはありません。昔はこれを得意芸にしていた中国人の手品師もいたようですが、その人の演技は私も見たことはありません。材質は壺の入った箱などをくくるものは絹でできています。しかし、マジックで使う真田紐は綿でできている、最も安い、普及品で十分です。真田紐自体は、昔は必ずしも高級な紐ではなく、ごく日常的に、大きなものをくくるのに使われていたようです。実際、綿でできたものは安く、マジックにも十分使えます。また絹より、綿のほうが柔らかく、マジックには好都合です。
私がこれを購入したのは、今から30年くらい前です。先日、「魔法都市日記19」で紹介しました晃天会の売場で購入しました。
真ん中からローソクで焼き切るので、消耗品かと思うでしょうが、実際には消耗する部分はわずかです。復元したときの紐は短くならず、何度でも使えます。(笑)そのため、一度作っておくと、一回あたりにかかる金額は数十円程度です。
先日、晃天会の売場に行った際、「真田紐の焼き継ぎ」があるかを確かめましたら、もう扱っていないということでした。しかし、調べてみると、京都では今でも真田紐を作っているところがあり、電話で確認してみると、綿製の真田紐は思っていたよりずっと安いものでした。絹製のものは長さが10メートルくらいで数万円ですが、綿のものは3,000円前後です。
幅も何種類かあるようですが、普通は25ミリか30ミリ程度で問題ありません。購入するとき20メートルも買っておけば一生分あるでしょう。(笑)
1本の紐をどのくらいの長さは演じる場所にもよりますが、なるべく長い法が見栄えがします。最近行われている普通のロープカット用のロープでは1.5メートル程度でしょうが、それと比べると倍は必要です。床に転がせて広げる動作で暗黙のうちにあらためを行っていますので、床に転がるくらいの長さは必要です。あまり短いと、この紐を使う良さがありません。元々長い紐ですので、実際に演技をするときも、なるべく長いほうがよいのです。しかし、アマチュアが家の中で演じるには、部屋がそれほど広くないので、あまり長くても意味がありません。しかし、それでも最低、一本3メートルくらいはあったほうがよいでしょう。
解説書としては、昔の『奇術研究』(力書房)にあったくらいで、他にあるかどうか、私は知りません。
追加:2000/8/13
真田紐は現在でも京都で作られているようです。このページを書いた1998年までは京都に一軒あったのですが、そこで作っていた方が高齢のため、今は引退されたようです。現在でも別の店で入手可能かも知れませんが、詳しいことは私もわかりません。
もしどうしても手に入れたい方は、goo等の検索エンジンで「真田紐 京都」で検索してみてください。どこかの店が見つかるかも知れません。また、一般的な紐を扱っているような店にたずねてみても、見つかるかも知れません。