神の島 久高島



古歌謡 オモロには、太陽が、地下から東方 「てだ(太陽)が穴」 を通って昇ってゆく美しい情景ーあけもどろの花ーを謡ったものがある。
太陽神が「てだが穴」から出現するという観念は、神の世界と人間の世界は、穴でつながっている、と想像されている。

ところで、斎場御嶽の拝所から見える久高島は、全く平らな島なので、海・空の境に開いた穴のようにも見える。  (追記)


SEI07ss.jpg (24178 バイト)

拝所から見える久高島



東海の彼方からおとずれたニライ大主は、久高島を経由して、斎場御嶽の尖頂端のキョウノハナ(京の鼻)に飛来し、
垂直に下降してサノコウリへ、そして、そこから約7mの三角状の岩穴を通られ、人間界に出現される。
通って来られた三角状の岩穴こそ、神の世界と人間界を結ぶ「テダが穴」、すなわち神の門とみることができよう。

   「神と村」 仲松弥秀





(追記)  2020.10.11

久高島は、神が出現する「てだが穴」と見なされていた。

久高島行幸を謳った「知念久高行幸之御時おもろ」(1529〜1538)で、(国王を伴った)聞得大君の行程は、
首里城出立〜与那原〜 佐敷(拝所へ) 〜 斎場御嶽 〜馬天港〜久高島 であり、
その行程を謳ったオモロは、久高島への船中で次のように終る。(第10-551の場合)

 〜(略)〜
船子 選(えら)で 乗(の)せて
手楫(てかじ) 選で 乗せて
東方(あがるい)に 歩(あよ)みわ
てだが穴に 歩みわ


オモロを含めた神歌の世界では、久高島はその周辺の海域を含めて実態としての久高島ではなく、
異界・聖域世界として表現している
    「おもろさうし研究」 島村幸一 2017.3.25  (P112)




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