KU_TTL01.gif (49773 バイト)
            


  沖縄の自然には神々と精霊達が宿っている。
  沖縄南部の知念村にある斎場御嶽(せいふぁーうたき)は島内最高の聖地であり、首里王家の女性・
  聞得大君(きこえおおきみ)を最高の神官とする神女(ノロ)組織が維持し祈祷を捧げてきた場所である。
  男子禁制であり、国王といえども入口から奥には立ち入れなかった。

 

  1999年2月の温暖なよく晴れた日に私はこの場所を訪れた。

  入口からすぐに亜熱帯の樹木が覆う神域になっており、琉球石灰岩で造った白っぽい石畳道が
  ほの暗い林のなかを縫うように各拝所に通じている。
SEI01ss.jpg (11157 バイト) SEI02ss.jpg (13054 バイト) SEI03ss.jpg (12015 バイト)
入口  樹木の下の石畳道 拝所に近づく
  
  大庫理(ウフグーイ)、寄満(ユインチ) といった巨大な岩の窪みに鍾乳石が垂れる拝所を経て、巨岩と
  巨岩とがもたれあった隙間 ーー  三角形の入口を入って行くと最後の聖域サングーイに到達する。
  ここは3方を巨岩に囲まれた空間である。

SEI04ss.jpg (25151 バイト) SEI05ss.jpg (22564 バイト)

拝所を巡る石畳道

  サングーイへの入口 (クリックで拡大)

 

SEI06ss.jpg (26754 バイト)

久高島を望む面が開けており、遥拝場所に
座ると樹木の飾り窓の中に、久高島が遥か
に浮かんで見える。(左写真)

 

天空の彼方のニライ・カナイから、久高島
を経由して神々が訪れる聖なる回廊の終端
がこの場所である。
森閑とした聖域でしばらく時を過ごした。
長い歳月の間、この拝所でノロ達により
祈願されてきた祈りが、周囲の岩盤に
染み入り、周辺に木霊しているかのよう
であった。

       次は久高島に行かねば、と思った。

 

   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

  3月初めの週末に馬天港から連絡船に乗り久高島に渡った。(注1)

 

  久高島は知念沖6キロに位置し、青い海原のなかで珊瑚礁に囲まれた小島である。
  全島が神域であり、島そのものが結界のなかに位置しているかのように思われる。
  琉球料理の最高級食材であるイラブー(海蛇)の漁が行われる島としても有名である。
  面積は1.4平方キロ程で全く平らな島である。南北に細長く、人々は南の端に集落を造って住んでいる。
  戸数115。住民248人(平成9年)の過疎の島である。
  12年毎の午の年に行われる「イザイホー」の神事で有名であるが、前々回の1978年に最後に行わ
  れたときは、人口は579人であった。前回1990年は中止となったが、この人口ではもう2002年
  のイザイホーも無理であろう。

  この島は、島開祖を出自とする二つの家系のノロが神事などを司どっている。久高ノロと外間ノロである。
  島は男は漁業、女は農耕にいそしんでいる。久高の漁師は糸満の漁師とならんで、沖縄の代表的な
  海人(うみんちゅ)である。

 

  島の集落は港から近いところにあり、台風除けなのか、石垣を高く組上げ、道路は狭い。
  風除けのフクギが植わっている個所もある。
  昔ながらの風情のある集落の姿を留めている。

 

KU001ss.jpg (14733 バイト) KU002ss.jpg (11226 バイト) KU003ss.jpg (12265 バイト)

 集落風景(1)

 集落風景(2)

   フクギの防風林

 

KU102ss.jpg (16270 バイト)
 神アシャギに辿り着いた。集落の奥にあった。(左写真)

 島の女達によりここで行われるイザイホーの儀式はあまり
 に有名で、比嘉康雄氏の写真集などで紹介されている。
 今日の神アシャギは、イザイホーの際の神事用のクバの
 葉の装いもなくごく平凡でかつ平穏なたたずまいであった。

  
  ノロ達の歌う讃歌 ”てぃるる” はいつ聞けるのだろうか。

 

  村を後にして、細長い島の北の先端 カベール(神屋原)を目指して歩き始めた。
  途中、神事で使われる泉ー イグルガーの拝所フボー御嶽(フボーうたき)を経由した。

 

  フボー御嶽は久高島最高の聖地である。
  男子禁制の場所であり、今でも島の男達は立ち入らないそうである。

  薄暗い樹木の密生した入口から、トンネル状に林の中を進んでいくと、前方に円形の開けた場所が現れる。
  そこだけ日が射し込んでいるため明かるい。クバの木が茂っている。
KU200ss.jpg (13672 バイト) KU201ss.jpg (17822 バイト) KU203ss.jpg (14434 バイト)
農道からの入口  前方に明るい広場  クバに囲まれた広場

 

  拝所があり、広場には何かの神事を行った跡であろうか、柔らかな草が拝所に向かって半円形に敷かれ
  ていた。その上でしばらく横になったが、神域の覆い被さってくるような気配を感じ、早々に立ち去った。

 

  海の彼方に斎場御嶽を望む場所を経て、島の北端のカベールに着く。
kuc001ss.jpg (16597 バイト)  

  (左写真)
   カベールに着き、今まで歩いてきた道を
  振り返る。

 

kua01ss.jpg (7521 バイト) kua02ss.jpg (10392 バイト)   荒々しい岩礁と、美しいお花畑、
  アダン、クバの原生林がそこに
   はあった。


 (写真はクリックで拡大)

kua03ss.jpg (12032 バイト)   ニライ・カナイに地上で一番近い
   場所である。

 

    神はカベールに降臨しフボー御嶽に渡り、そこから知念・斎場御嶽を経由して沖縄中に広がっていった。

 

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  
  帰路は海岸の東側の女達が耕作する畑地を通った。所々、浜へ下りる横道があると、ウパーマの浜、
  イシキ浜などへ下りていった。
kub01ss.jpg (10438 バイト) kub02ss.jpg (8085 バイト) kub03ss.jpg (7035 バイト)
  どこかにノロが手掴みでイラブーを捕らえる、イラブーの産卵洞窟があるのだろう。
  海岸には強風が吹き寄せていたが、アダンとフクギの林に遮られ畑地には届いていない。これらの樹々の
  逞しさと有用性には感嘆した。
  
                   1999.3.24     宇田川 東

 注1:久高島行の港は、2000年(平成12年)春より、馬天港から、知念村・安座間港に変更になった。
  注2:斎場御嶽は、2000年12月に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして、世界遺産に登録された。

                                                                           ホームページに戻る。