城北シーン(11)

東京の城北地区(板橋・北・豊島ほか)の風景をご紹介します。

 

巣鴨 大鳥神社    文京区千石4-25-15

大鳥神社の鳥居 都営三田線の車内、網棚の上に「沿線案内」という広告が貼ってある。 各駅ごとの学校や病院などの広告に混ざり、巣鴨駅の所には「酉の市で名高い...巣鴨 大鳥神社」という広告が載っている。

毎年12月になると、酉の市にでも行ってみようと思うのだが、一度も行ったことがなかった。 それ程大きな神社ではないだろうが、一体どんな神社なのか、とても興味があったので行ってみた。
大鳥神社の社殿 巣鴨駅から千石方面に5分程歩いた所に「大鳥商店街」があった。 その通りを1〜2分ほど行ったら鳥居が見え、「巣鴨大鳥神社」と書かれていたが、「えっ、ここが...?」と思った。

それ程に小さい、想像したより遙かに狭い神社だった。 境内(駐車場と言った方が正確かもしれない)の奥に小さな社殿がある。

境内の脇にあるアパートの一室の扉には、「大鳥神社社務所」と書かれた表札がかかっている。
子育稲荷 神社の入り口にある鳥居の脇には「子育稲荷」がある。 中には「大鳥神社」と書かれた纏(まとい)が置かれている。

子育稲荷の塀には「社殿復興奉賛者募集」の看板が掛かっており、「300年(創始、貞享5年)の由緒ある当神社の伝統継承と地域社会発展のための再建計画」が書かれている。 その昔は、さぞ立派な神社だったのだろう。

今年の暮には、ぜひ酉の市に行ってみよう。

(99/05/22)
 

酉の市    巣鴨 大鳥神社

酉の市

熊手を売る
今年の5月に取材に行った時には、参拝に訪れる人もいなく、淋しかった巣鴨の大鳥神社に、11月29日の夕方に行ってみた。 ここで本当に酉の市が行われるのか、別に疑ったわけではないが、単に信じられなかった。

これが同じ神社かと思うほど沢山の参拝者で賑わっていた。 広くはない境内にも熊手を売る店が出ていた。 景気の良い三本締めも時々聞こえてくる。
露店 普段は通る人も少ない商店街には、ずらりと露店が並んでいた。

これだけ多くの人が訪れるというこことは、この神社が酉の市で有名だということで、「酉の市で名高い」は決して誇大広告ではなかった。

(99/12/19)


 

西新井大師(總持寺)    足立区西新井1-9

本堂 弘法大師
三重の塔  八十八
柴又の帝釈天のように映画の舞台になっていない、巣鴨のとげぬき地蔵のようにTVのインタビューはやっていない、川崎大師のように初詣関連のニュースにも名前は出ない、佐野厄除け大師のようにTVでCMを流さない。

弘法大師が開いたと言われる西新井大師(總持寺)は、それほど有名ではないかもしれないが、非常に立派なお寺だ。 安全祈願を受ける車が、いつでも並んでいる本堂もとても立派だが、三重の塔、滝が流れ落ちる日本庭園、八十八のお地蔵さん、出世稲荷など、お堂が沢山ある(全部を覚えていない、というのが本音だが)。

ここは環七通り脇にあるので、車の安全祈願を受けるにはとても便利だ。

この寺は花でも有名だ。 池の畔にある藤棚も見事だが、ぼたんの花も素晴らしい。 境内には「第1ぼたん園」の他にも「第2ぼたん園」があり、さらに「第3ぼたん園」があり、もっと探してみると「第4ぼたん園」、「第5ぼたん園」...
立派な門前街もある。 山門前の通りには土産物を売る店が並び、草だんこ、煎餅、くず餅、数珠などの仏具などを売っている。 名物のダルマは数百円の小さなものから、1万円前後の大きなものまで色々ある。
門前街 ダルマを売る店 煎餅屋
境内にも露店が出ており、土産物、食べ物、植木、玩具などを売っている。
山門を抜けた所に御手洗(みたらし)があるが、下の部分をよく見て欲しい。 この御手洗を支えているのは銅製の童子だ。 江戸時代に作られたオリジナルは戦時中に供出されたが、戦後間もまく復元された。 中国風の童子はちょっと可愛らしく、なんとも愛嬌がある。
御手洗 童子
塩地蔵堂 この寺で最も珍しいのは、「塩地蔵」だろう。 まるで雪原に立つ雪だるまのように、足元から頭まで塩まみれになっている。

写真を見てもお地蔵さんの顔が分からないほど、全身が塩まみれになっている。
塩地蔵 お堂の脇には
『ここに安置される地蔵菩薩は江戸時代より特に疣(いぼ)取り、その他に霊験ありと伝えられ。 御堂内の塩をいただき、その功徳ある時、倍の塩をお返しするところから塩地蔵と申し、諸人の信仰盛なり』
と書かれている。
このお地蔵さんの霊験なのだろうか、境内ではナメクジを一匹も見かけなかった。

東武・大師線「大師前」より徒歩3分、伊勢崎線「西新井」より徒歩10分
都バス「王40甲」(池袋東口・王子駅より)「西新井大師」下車3分
(99/06/13)


 

王子稲荷神社    北区岸町1-12

王子駅から名主の滝に向かって歩くと王子稲荷神社がある。 江戸時代より多くの参拝者を集めている神社だ。

「関東稲荷総司」と書いてあり、どうやら関東にある全てのお稲荷さんの総元締めらしい。 門を入り、幼稚園の庭にもなっている境内を抜けると石段がある。
王子稲荷神社 お稲荷さん(右) 石段の左には鍵を持った狐、右には玉を持った狐がいる。

江戸時代の花火屋「玉屋」と「鍵屋」は、ここから名前を撮ったと聞いたことがあるが、別の神社の狛犬という説もある。
お稲荷さん(左)
狐の穴跡 石段を上った所にある本殿は、関東総社だけあって立派だ。 境内には紫陽花などの花の鉢植えが多く並べられており、花が咲く時期に行けば非常に綺麗なのだろう。 社務所や資料館の他に、こんもりとした木々の間に多くの祠がある。

最も奥まった崖には階段が作られており、ここを上った所にある祠の奥には「きつね穴」がある。 正確には「狐の穴跡」らしい。 つまり昔は狐が住んでいた穴か、昔は狐の穴があったという事なのか。 資料館が閉まっていたので調べられなかったが、それらしい穴のようなものがある。

お稲荷さんには必ず狐の石像があるが、ここの「きつね穴」には動物としての狐の実在感がある。
御石様 きつね穴に昇る階段の脇には「願掛けの石」がある。 祠の中の台座に敷かれた座布団の上に「御石様」が鎮座している。

『願い事を念じつつ持つ石の軽重により御神慮が伺えるといふ』と書かれているが、石の幅が約40cmほどで、重さも30〜40kg位ありそうだった。 どの位重いのか、持ち上げてみようと思った。

しかし単なる好奇心で持ち上げると、お稲荷さんの罰(バチ)が当たってギックリ腰になるかもしれない。 恥ずかしくて医者にも説明できないし、神罰では保険も効かないかもしれない。

本当にお願いした事が出来た時に、敬虔な気持ちで持ち上げてみよう。

(99/07/11)



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