NEON GENESIS
EVANGELION 2  #10  " Paradise Array "








流れ着いたドラム缶で、温(あった)かいお風呂を作ってみたり・・・




 ハイビスカスでその髪を彩(いろど)ったアスカが、とても綺麗な少女だと思えてみたり・・・




 幾日が過ぎ、僕たち二人は、自然と、救助部隊(サルベージチーム)がやって来る筈であろう海の『向こう側』を眺め見る事が多くなっていた。





「来ないね・・・」



「うん・・・」





 手をつなぎ、握り締め、無言のまま、何時か来る終わり(無人島救出)を待ち続けるエヴァンゲリオン操縦者(クォリファイド)の二人・・・




 世界を茜(あかね)色に染め上げる夕日の残照が、南方の楽園(パラディス)にもようやく一日の終わりがやって来た事を告げつつあるその段階に至っても、僕たち二人は、取り残された『アダム』と『イブ』のままだった・・・





「遅いね・・・」



「うん・・・」





 日も暮れて、絶やさない焚火を取り囲み、色々な事を談笑しながら、何時しかゆったりとした安穏(あんのん)に包まれる野営テント(ベースキャンプ)。




 睡魔に誘(いざな)われたアスカに引き続いて、この僕もその傍らで、ゆっくりと浅めの眠りにつくだろう・・・




 月光に照らされる、小さな波間の子守唄・・・




 そうして、一日が今日も過ぎて行った・・・