NEON GENESIS EVANGELION 2 #5 " POWERED EVANGELION " side-C
” Continued ・・・ Fire control side , starting count down 10,9,8,7,6,・・・ ” ” O.K. Motion control side , supporting. ・・・ and extending WING RADIATOR ” ” ・・・ 5,4,3,2,1, ・・・ FIRE !! ”
本当に以前までと同じ"EVANGELION series"なのか? こんな超兵器が必要となって来るほどに、 現存する使徒(L.N.A.)は強いのか? 現行の"EVA - mk.2 series"では、 本当にこれからの敵を倒せないとでも言うのか?
『POWERED
EVANGELION』
In the vicinity of Shin-yokosuka M.B., Japan U.N.F. (OCSS) South Pacific Head Quarters ; Brisbane , Australia 「失礼ながら、君の事は調べさせて貰ったよ。鈴原軍医二尉・・・」 国連軍大洋州軍団の象徴、三角塔(クリスタルタワー)オフィスの3Fに陣取る副司令執務室のテーブルにおいて、この部屋の主であり、金色の中将肩章を身に付けている初老の将官と、軍服に白衣の青年士官が向き合っていた。 「鈴原トウジ軍医ニ等尉官。日本国(JPN)出身。国連常用英検(B-level)を取得の後、大洋州軍団(OCSS)軍医学校予科・少年衛生兵養成課程(EMOS)を選択。言語的・肉体的ハンディを克服して、無事に卒業。部隊勤務(衛生科)の経験を積みながら、軍医学校本科への部隊内推薦を受け、医師免許状を修得。本科の学生隊(アイランド)においては、第二分隊の隊長まで務めていたようだね、感心なことだ・・・」 「・・・一体、何のことをおっしゃりたいのですか? ゴールドティンガー副司令? 私には、おっしゃる事の意味が、よく分かりません。私は、単に、『(南極に面しているが故に、)悲惨な状況で放置されてしまっているホバート(タスマニア島)医療設備の改善要求について、駐留部隊付き軍医官の観点から報告せよ!』との医監本部命令を受けて報告しに参っただけです。関係ない私の経歴でお茶を濁されるのでしたら、私は、これにて・・・」 「ああ、悪かった。済まない。そんなに尖(とん)がらないでくれ給え、鈴原軍医二尉。君の気持ちは、これでも分かっているつもりなんだ。だが、私だって人の親。何よりもまず自分の娘が一番に可愛い。君も気付いているとおり、娘は・・・ルーシーは、君の事を好いておるよ。私も君ほどの好人物なら、安心して娘の将来を任せられるものと思っているのだが・・・」 「それは有り難うございます。ですが、肝心な事を御忘れではないですか、副司令? 私は、二人の子持ちなんですよ? その私が、初婚のルーシーさんと結婚話などと・・・」 「勿論、知っておる。だが、問題無くやっていけるだろう? この前のガーデンパーティーでも、ツバサ君も、アサヒちゃんも、ルーシーになついておったではないか・・・。後は、君の気持ち次第なのではないのかね? 鈴原軍医二尉? 子ども達にとっても、母親という存在は、絶対的に必要なはずだよ・・・ それとも、何かね? 君から見て、ルーシーは、子供たちの母親役として、不作法な人物に思えたとでも言うのかね? それだったら、私も考え直さないといけないと思うのだが・・・」 「・・・ ルーシーさんほどの美人で素晴らしい女性なら、私以上に適任な男性がいくらでも見つかるでしょう? 何も、男やもめの私が相手でなくても良いではありませんか・・・」 「ルーシーは、君のそういうストイックな所を含めて、君が良いと言っている。私だって、それは同感だ。君は努力家だし、患者に対しても誰に対しても、とても優しい性格をしている。曹候補あがり(予科)の経歴とは言え、技術系医官なんだから構わない。本科(幹候)を経由している以上、将来性だって十分だ・・・」 「なっ・・・」 「まぁ、明日にでも返事をくれとは言わない。けれど、いずれ返事は欲しい。考えても見給え。これは、関わる誰にとってもベストの選択になる筈だよ。ルーシーと君の子供たちは愛情を・・・、私は老後の確かな安心を・・・、そして、君自身は、国内に残している莫大な借金の清算と名門ゴールドティンガー家に名を連ねることによって得られる国連医監本部局(MOO)内部での強大な後ろ盾・・・ 死んだ奥さんへの愛を貫く事も素晴らしいかもしれないが、生者には生者の生きる道がある。何時までも過去の事にとらわれて、君自身が君自身の幸福を掴み損ねてしまうような事になるのだったら、それは本当に愚かな事だし、とても悲しい事だ・・・ ひょっとしたら君の奥さんだって、天国でそう思っているんじゃないかね? 私は、心からそう思うよ、鈴原軍医二尉・・・」 『 ・・・ せえよ』 「ん!? 」 『ええかげんにせえよって言うたんじゃい。どういう事が幸せなんかは、わし自身が決めるっ!! おのれが決める事やないやろっ!! 何も知らんとけつかるくせに、勝手な事を抜かすなっ、ダアホがっ!!』 鈴原トウジは、目の前のテーブルをバンと叩きながら、立ち上がった。 『ええか、ゴールドティンガー、よう聞けよ。人の気持ちが、そないに単純に割り切れるもんなんやったらなぁ。この世から争い事なんて、真っ先に消えて無くなるんじゃい!! それを人が大人しゅう聞いとったら、最後の最後まで何やねんっ!! 後ろ盾? 財産? その上、このわしが愚か者やとぅ? 自分が一体、何様になったつもりで人に物、話しとるんじゃ、このボケボケおっさんがっ!!』 唐突に変質するトウジの勢いに、ゴールドティンガーは、眼を白黒とさせて驚いた。 「ふう〜、又かね? 君が、この大洋州軍団(OCSS)に配属されてから、かなりの年月になると思うのだが、興奮すると母国語(dialect)が出てしまうという悪い癖だけは、一向に直らないんだなぁ・・・、鈴原軍医二尉。君が何を言っているのか、私にはさっぱりと理解不能なのだが、どうやら君の気に障るような事を言ってしまった事だけは確実なようだね。それは、謝るよ。この通りだ。・・・しかし、君自身の幸せを考えたら・・・」 これが、真実に公正の人と称される、大洋州軍団(OCSS)南部管区太平洋軍総司令部(SPHQ)副司令、ルパート・ゴールドティンガー中将の持ち味である。 場合によっては、階級的に9つも下となる青年トウジに対してでさえも、根気よく理を諭し、平然と頭を下げてしまうその将官らしからぬ姿勢と態度は、『パワーズ』系が台頭する今の国連軍上層部の中では希有の存在であり、トウジも十分に敬愛する所の物だった・・・ しかし、その彼をしても富める者の選民意識とは無縁ではないらしい・・・ 好条件を持ち出せば、喜んで相手が尻尾を振るとでも思っているのであろうか? 納得が出来ない・・・ 彼と親子になるのかもしれないと言うのだったら、なおの事、聞き入れる事なんて出来よう筈がない ・・・・ 「なぁ、ヒカリ・・・ もう少しだけ、お前の事を好きでおっても、ええかなぁ・・・」 その後、豪州南部方面(タスマニア島)駐留部隊の医療予算の拡充を確かに検討するという返事をゴールドティンガー中将から頂いてから、脇目も振らずにSPHQブリズベーン総本部(クリスタルタワー)を退出したトウジは、今現在も、街を見下ろす一番の高台に広がっている共同墓地の一角で、一人花束を持ちながら立ち尽くしていた。 彼の目の前の墓標には 「 SUZUHARA, HIKARI 2001-2022」 と銘打たれている。 それは、鈴原トウジという一人の男性が、この世の中で最も愛した女性の永眠している場所だった・・・ 「・・・みんなの喜ぶ事を考えたら、どうすればええんかなんて、本当は、とうの昔に分かっとる。お前の顔を覚えていないツバサもアサヒも、家に帰って、あの優しいルーシーお姉ちゃんが、お前らのお母さんになってくれるかもしれへんで!って言うてあげたら、飛び上がって喜ぶやろう・・・ それも何と無くに分かる。そやけどなぁ、わしには、もう嫁さんはいらんねん・・・ そうやろ? わしの嫁さんは、永遠にお前一人なんやもんな・・・ 」 たった一人の妹・・・ナツミが、長い入院生活の末に、その短い生涯を閉じてしまった時、一緒に泣いてくれたのは、洞木ヒカリだった。 命(ナツミ)の消滅と共に、それでも現実(しゃっきん)は、冷酷にやって来た・・・ その後、学費の一切かからない外国の軍医学校予科(高等部)の道を選択した事を、「無理! 無理! 出来る訳無いじゃん! 寝言は、寝て言え!」と言って、腹がよじれるほど爆笑しやがった級友(クラスメート)どもの中で、唯一その気持ちを理解してくれて、一緒に英語の勉強その他を手伝ってくれていたのも、洞木ヒカリだった。 そして、彼女は、高校卒業と同時に、程なくして鈴原ヒカリになった・・・ 振り返れば、何時だって彼女は、そこに居た。 微笑んでいた。笑っていた。 生真面目さと、優しさと・・・ それに時には、炎のような情熱を併せ持っていた女性、ヒカリとの短くも幸せな日々・・・ そして、その事自体を、自分はとても当たり前のように感じていたのに・・・ 「明日一番に、転属願いでも提出するわな、ヒカリ・・・ ツバサやアサヒに、これ以上、実現せえへん夢を見させとっても可哀想やしな・・・ まぁ、離島勤務回りもしゃーないやろう、今だってそう大して変わらへん待遇なんやし・・・」 抱えていた花束を墓前に置きながら、トウジは、そっと、そう呟いた。 「何時の日か、もう一度、わしらはこのブリズベーンの大地に戻って来る。そん時こそは、家族4人で何時までも仲良く暮らそうや。・・・フフッ、ツバサもアサヒも、次に来た時は、立派になっとるやろうなぁ、特に、アサヒは、ヒカリにそっくりや。あれは、きっと誰に対しても面倒見のええ子になりよる。そんでもって、ツバサは・・・ お調子もんやな・・・・ はぁ〜、あのアホは、一体、何処の誰に似よったんやろうかぁ・・・ わしには全然分からへんでぇ・・・」 春の訪れを感じさせる陽光の中、浜風を頬に受けて、墓前に佇んでいたトウジは、静かに、そっと立ち上がった。 妻との別れも済んだ。 全ては、もうとっくに決意していた事だったのだから、今更気持ちが覆る事なんて絶対に有り得ない・・・ それは当たり前の事だ。 それなのに、あれほどまでに素晴らしい人格者である事を謳(うた)われている筈のゴールドティンガー中将は、最後の最後まで、自分のその気持ちを理解してくれなかったとでも言うのであろうか? ひょっとすると中将の性格を、自分は買いかぶり過ぎていたのかもしれない・・・ 「・・・ 副司令からの追加伝言なのかもしれないが、用があるなら後にしてくれないか? 私は、今、亡き妻との語らいに忙しい。いくら使命第一の軍人であると言っても、察する心ぐらいはあるだろう? 人のプライベートに土足で入り込む野暮だけは頼むから止してくれよ・・・」 機先を制したトウジは、背後を取り囲んだ集団に向かって、振り向こうともせずに、部隊公用語である所の『B-level English 』を叩き付けた。 すると、一瞬の躊躇の後、背後から一人の男だけが進み出て来る気配が感じられて来る。 その男を眺め見やったトウジは、一見しただけで、その男が只者ではないという事を知った。 「失礼ですが、オペレーション”Praying Doll”が失敗に終わった今、私達にあなたの意志を忖度(そんたく)している余裕はありません。国連軍大洋州軍団(OCSS)所属、南部管区太平洋軍(SPHQ)・第一医療班、鈴原トウジ軍医二尉でありますね? 相違ございませんか?」 『ハッハッ、オペレーション”Praying Doll”って、何やねん。そんなもんわしは知らんぞ。人違いなんとちゃうか。大体、わしは、鈴原やないでぇ〜、人攫いをやりたいんやったら、お前ら、とっとと出直して来なあかんわなぁ・・・』 ・・・と言ってやりたい気分になってしまう事を、その時のトウジは気持ちとして、全然否定出来なかったのだが、なにやらつかず離れずに自分たちを取り囲んでいる連中たちの感触も、通常に見慣れた軍人たちとは違う雰囲気を持っているように感じられる。 茶化して逃げる事は、到底、出来そうにもなかった。 「私は、確かに鈴原だ。だが、そう尋ねる君たちこそ、一体、何者なんだ? どうやら大洋州軍団(OCSS)とも、また違った部隊であるようだが・・・」 「我々は、国連軍統括特務部隊『パワーズ』。あなた自身とあなたのお子様たちを汎用決戦兵器、エヴァンゲリオンのパイロット、およびパイロット候補生として、お迎えにあがりました、鈴原軍医二尉殿・・・」 第五話 「果てる事なき力」 ・ 完 The Next Story ・・・ Genesis 1:6 " The Next Generation " E2メニューに戻る / VBトップに戻る/感想コーナーへ |