NEON GENESIS
EVANGELION 2  #8  " THE DAY "  side-A2








 「ありがとう・・・ お世話になったね、大和先生・・・」





 「・・・ううん、全然・・・  だけど、残念だったね。せっかく念願だった教師になれたと言うのに・・・」





 「・・・しょうがないさ・・・ 半分は諦めてた。何時かはこうなるって事を・・・」








 同僚の大和先生の煎れてくれたコーヒーを啜(すす)りながら、僕は彼と共に、クーラーのよく効いている音楽室の窓辺から、身近な箱根連峰の山々を眺めていた。





 遠くに見えている青い空に、白い雲・・・




 緑色の優しい木々のせせらぎ・・・






 普段であれば、どうと言う事の無い景色の一端であるのかもしれない。







 けれど、そのあるがままに煌(きらめ)く、自然なままの風景を眺め続けているその時の僕の気持ちとしては、きっと最後の瞬間が訪れる時間がやって来たのだとしても、永遠に、この『』だけは忘れる事が無いのだろうと言う事を、より一層強くに思っていた・・・






 新たに生じていた教師・碇シンジとしての想い出・・・




 確かに僕はこの場所に居たのだと言う実感・・・






 例え、それらの全てが『一瞬』にも等しい刹那な光景であったにすぎないのだとしても、僕の中に生じる想いは、永遠に残って行く物ばかりなのだから・・・







 「・・・ねぇ、知ってたかい?  碇先生?」





 「何をだい?  大和先生?」





 「僕達はね、例外なく軍人が嫌いさ・・・ それに類するものも、賛美する者もね・・・ 」





 「大和先生・・・」





 「だけど、それでもなお、
訳ありの碇先生の事をそれとなくずっと心配していて、時間内に校務から離れても何かにつけて動きやすいように配慮し続けてくれていた人間は、一体誰だったんだと思う? ・・・我等の尊敬すべき狸(たぬき)親父、伊勢校長先生さ・・・  別に国連軍特務機関からの直截な圧力に屈していた訳でもないし、偶然に碇先生が、自分の同門の後輩(第2新東京高等師範学校出身)だったから目を瞑って可愛がっていた・・・ そう言う訳でもないんだよ?」







 知らなければ、気付かなかった世界が世の中には存在する・・・





 第三衝撃(T.I.C.)で亡くなられたのだと僕もお聞きしている校長先生のたった一人の息子さんが、お父さんの後を継いで、同じように教職の道を目指したいなぁ〜 というような事を生前に口にされていたと言う事・・・





 生きていれば、僕たちと同い年だっただろうと言う事・・・









 伊勢ヘイシロウ(校長)先生は、常々、こう言われていたそうだ。









 強制された若者に、手を差し伸べなくて、どうする?





 我らで追い出すと言うのか?





 一度たりとも実社会で翔(と)ぶ事が叶わなかった自分の子供、ショウタ(翔太)・・・





 もし本当にあいつが、まぐれではあっても教員になれていたのだとしたら、一体どんなにか失敗続きの先生になっていた事だろう・・・






 それに比べて、碇先生は、よくやっているよ?






 明らかに無理をしている御様子だけどね・・・









 「・・・酔えば必ずに泣き出す伊勢(校長)先生の胸の内ではね・・・ 理由は言えませんが、ずっと教師を続けていたい。僕はここに居たいんです!』 ・・・そうはっきりとみんなの前で言い切った生真面目な碇先生の態度や姿勢が、まるで自分のお子さんが目の前に帰って来ているかような錯覚に思えていたのさ・・・  僕たちは、その気持ちを十分によく理解しているから、何も言えなかった・・・  特務機関との関わりを嫌がっていた何人かの先生方だって、自然に、無理して頑張ってる碇先生の事を陰ながらに盛り立ててあげようという雰囲気に変っていたよ・・・」





 「大和先生・・・」





 「・・・ねっ? それに校長先生や教頭先生たちだけが、碇先生のこれからを心配してるって訳じゃないさ・・・  みんなも多分同じ事を言っていただろうと思うけど、僕も言うよ? 全てが終わったら、絶対に戻っておいで・・・  何も一生、国連軍(UNF)に縛られてなきゃいけないって決り事でも無いんだろ? 僕たちはここに居て、碇先生の教職復帰をずっと楽しみにしてるさぁ・・・」










 彼とお別れに握手を酌み交わした掌(てのひら)が暖かい・・・







 僕は最後の最後まで、なんと多くの人に守られていたのだろう?






 意識出来ない優しさの欠片・・・




 飛び込んだ社会の先にある人と人の繋がり・・・






 EVAに乗らなくなってからも、制度(システム)に守られ、人に守られ、何よりもまず人の持つ『優しさ』にずっとずっと守られ続けて来た男・・・






 資格さえも無く、与えられる能力も無く、ただ享受するだけしか能の無かった僕だったと言うのに・・・









 やがて、大和先生と別れてから、少しだけ薄暗い校舎内の玄関前の上履き入れを過ぎ、明るい日差し溢れる運動場の横道の方を通り過ぎようとした瞬間に覗いて来る教室の窓々を見ながらに、僕は再びに考えた。







 ティル・ナ・ノーグ  ( Tir-na-n-Og )





 ここは、ケルト神話で言う所の『永遠に青春の国』だったのかな?  と言う事・・・






 大人になりきれない部分を併せ持っている僕の心の奥底は、この時空間では一部しか得られなかった筈の宝物を、偶然にも再びにこの手に得る事の出来た幸運を大いに喜び、そして、その事をとても『大切』に思っているのだと言う事・・・






 一杯ある好きな物・・・





  人 (human) ・・・




  時間 (days) ・・・




  優しさ (kindness) ・・・







 そして、その内で一番に最(さい)たる女性が今、僕の目の前に居る・・・









 「こらぁ〜 新米教師のくせに、授業サボって、そこで何やってんのよっ!!」









 自習という事にしてあるD塔二階の二年A組の教室の窓が開いて、アスカたちの仲良し女の子グループが顔を覗かせて来た。





 僕は少しだけクスリと微笑んだ後に、力一杯、手を振りながらに応えた。







 「アスカぁ〜」




 「何よぅ?」







 僕は、この時、きっと素直な心で言えたんだと思う。




 このような済みきった気持ちで、本当の本心を語れたのは本当に久しぶりの事だ・・・







 「好きだよ・・・ アスカ・・・  大好きだ・・・」





 「・・・バ、バ、バ、バ、馬鹿ぁ!? こんな所で何てこと言うのよ??  それは二人だけの秘密の筈でしょ?」








 僕よりもよっぽど大きな声で、そう答え返しているアスカが居た・・・






 やがて、一瞬の静寂の後、アスカ達の覗いている教室の窓の後ろからは、爆笑と声援のハーモニーが大きな反響となって、この僕の目の前に現れて来る・・・





 みんな僕が受け持っている、とても可愛い生徒達だ・・・








 「ロリコン教師っ!!  生徒に手を出してるんじゃねぇ!!  訴えるぞっ!?」





 「碇先生、絶対にアスカを泣かさないでよ〜  私達が見張ってるからね〜」





 「駆け落ちしても良いけど、(結婚)式だけには、私達も呼んでよね〜  みんなして、てんとう虫のサンバくらいは歌ってあげられるわよ?」







 違うわよっ!!  馬鹿っ!!



 そんなんじゃないわよっ!!  馬鹿っ!!







 赤い顔をして、必死にそんな風に否定しているであろうアスカの声を耳にしながら、僕は笑って手を振りながらに運動場を離れた。







 そのまま校舎裏を周って、車を停めている駐車場に向かってからは、大和先生の綺麗なピアノの調べが、風に乗って流れて来ている事を僕は知る。





 おそらくは、クーラーで閉め切っていた筈の音楽室を、大和先生が僕にも聞こえるように開放してくれているのだろう・・・






  F.F.CHOPIN プレリュード 第15番 変ニ長調




  作品No.28−15  『雨だれ』







 これは大和先生流の心のこもった手向けの贈り物であるようだった・・・







 「・・・本当の僕は、ブーニンのようなピアノの演奏家として生きていたかったんだ・・・  だけど、好きな女性(ひと)も出来たし、何時までも形にならない夢を追っている場合じゃなくなって来てね・・・  な〜に、大丈夫さ・・・  諦めない限り、夢を追える手段なんて幾らでも存在するさ・・・  例え教師であってもね・・・」







 僕は、真夏のような日差しを強く受けながらに、呟いてみた・・・







 「貴方の夢は、何時か花開きますよ、大和先生・・・」






  ・・・ ティル・ナ・ノーグ (Tir-na-n-Og) ・・・




  ・・・ 永遠を愛してる ・・・







 そう思う自由は、僕の中にしか無い物なのだから・・・
















 「・・・覚悟は出来たのか?  シンジ君?」




 「はい・・・」




 「・・・そうか」






 後ろから近づいていた途中に、日向さんは一瞬だけ僕の方を振り向いたのだが、すぐさま視線を元の方向に戻していた。




 その視線の先には、真っ黒い潜水艦が何艘か動いている。




 それは間近に迫っている南洋の大作戦(ODD)に向けて、国連軍SSの方も待った無しという事の証明でもあるのだろう。




 素人目のこの僕から見ても、遠くに見えている新横須賀鎮守府のFバースという所は、とても慌ただしそうな気配であるようだった・・・







 「・・・私がここに居るのは、どうして解った?」




 「長門一尉から直接に聞きました。今時分の日向さんは、必ずココにいらっしゃるだろうって・・・  深夜には、ニューヨーク(国連軍事参謀委員会)に行かれる予定なのだと言う日向さん達が、いまだ本当に、この(新横須賀)
港が見える丘公園で遊んでいらっしゃるなんて、僕は半分ほど信じていなかったのですけれど・・・」




 「フン、自分で命令した事の成り行きは、最後まで自分自身で見届ける事にしている・・・ つまらない感傷だがな、部外者となっている今では・・・」










 新横須賀第15潜水集団所属、甲種(戦略)原潜




 黒潮、親潮




 同所属、乙種(攻撃)原潜 第223、224戦術潜水団




 夕潮、灘潮、高潮、朝潮、渦潮、浜潮








 ・・・そういう名前なのだそうだ。






 敵(LNA)から姿を隠していなければいけない事はもちろんの事、味方(国連軍)からもその存在を悟られずに使徒殲滅作戦(ODD)が実施されている期間中、当該作戦海域の奥深くに潜行していなければならない大事な役目なのだとも聞いている。







 だが、しかし、その、向こうを向いたままで居る専門家としての日向さんの詳細な説明は、その傍らに立って居る僕自身には『何の』感銘も感動も齎(もたら)さなかった。






 それはそうだろう?




 EVAパイロットとして限定的な戦場に居る僕にとっては、そんな司令官としての大局的な戦術面は、どうでも良い事だ・・・






 その時の僕には、そんな軍事的などうこうよりも、もっともっと身近な家族に関して気になる心配事の方が、一杯に存在していたのだから・・・









 「・・・身寄り知り合いが居なくなってしまうアスカとツバサ君とアサヒちゃんの三人の今後を宜しくお願いします。来るべく未来において、三人が三人の望んでいる事が行えるような暖かい公的な支援を・・・  父さんから受け継いでいる碇の資産は、基本的には、無一文になっているアスカを中心として配分を・・・ ツバサ君アサヒちゃんの養育費にも、そこからの配当で充分な筈です。 ・・・気を付けて下さい?  絶対に大丈夫だと言う確約が今頂けなければ、僕は心配で日向さんの思い描いている作戦の一部をミスしてしまうかもしれませんよ?  物理的な金銭面だけではありません。心情的にも、三人が惨めな思いをする事態だけは決して起らないように・・・」






 「・・・分かった、出来得る限りの約束をしよう・・・  だが、ツバサ君とアサヒちゃんの二人に関しては、大洋州軍団(OCSS)南部管区太平洋軍総司令部(SPHQ)のゴールドティンガー副司令から養子縁組の申し出も出ている・・・  二人が脱走騒ぎを起した時の目的地であるあの名門・ゴールドティンガー家だ・・・  豪州(ブリズベーン)に戻りたがっているのかもしれない二人の為にもなる話だと私は思うのだが、実際の所、この話だけは、私の方からお受けしておいても構わないか?  シンジ君?」






 「・・・当事者である二人が望むのであれば、そのように・・・ せっかく仲良くなれた三人でずっとこのまま一緒に居て欲しかったと思っている僕自身の気持ちとしては、少しだけ残念なお話であるとは思いますが、家族ごっこを強制できません。それに・・・」






 「それに?」






 「彼らは生きているのです・・・ 逢いたくなったら、また逢えば良い・・・ 何の不都合があるでしょうか?」








 まるで玩具の兵隊かのように見えている軍港の真っ白い制服を着た国連海軍軍楽隊が、何処かのお店で聞いた事があるような古き勇ましい軍艦行進曲(マーチ)を奏で出している新横須賀のベイサイドエリアの中で、お互いに始動し始めている潜水艦の動きの方をじっと見詰めたままで居る僕たちは、そのままの姿勢で、二人が今後に為すべき作戦の全てを、実際的に詰め合っていた。









 混乱するタイミングがすべて・・・




 中盤戦に起りうるかもしれない量産型エヴァ(Mk.2-SR)の13機一斉投入・・・







 何も知らないフリをすると言う事・・・









 想定される1体の大天使(LNA)との格闘戦




 大衝撃(インパクト)の生成・・・







 僕が、全ての身代わりになると言う事・・・









 やがて、攻撃の中心点におけるアスカ・ホーネット単独脱出行の幾つかの試案までを確実に話し合ってから、本当に話す事柄も無くなりかけた雰囲気が形成されつつあったその頃合いに、会談の間中ずっと最後まで海の方を向いているまんまで居たその時の日向さんは、『あくまでも』こちら側を振り向きはせぬ姿勢を貫いたままで、もう半ば、本部(NERV)の方に戻ろうと思い掛けていたEVAパイロットとしての僕自身に対し、いきなりに『今更な』質問を投げ掛けて来た。









 「こちらから強要しておいて、今更、こんな事を訊ね返すのは道義的に変かもしれない・・・ だが、シンジ君・・・  後悔はしないな?」






 「この前の日向さんの言葉ではありませんが、それでもなお、好きになった女の子の為に・・・  人としてE計画(父さんの真実を知ってしまった以上、理由などはありませんし、考えた事も有りません。 ・・・出来る範囲の精一杯・・・  僕は昔から他人から言われるように、とても馬鹿な男であるのですから・・・」









 僕は日向さんの問い掛けに対して、正直に答え返していたつもりだった・・・







 だが、しかし、その僕からの間髪入れない即答は、果たしていきなりにこちら側を振り返る日向さんの気持ちを非常に満足させている答えとなっていたのか。あるいは、全くに気に入らない物だったのか・・・






 ややあって、突発的な潮風が並んで立ち尽くす二人の間を一陣に駆け抜けて行く吹きさらしの新横須賀公園の構内の中で、常日頃サングラスを掛けたままでいる事を常態とし、とても外部からはその表情が悟り難くなっている現役軍人(パワーズ)としての日向さんは、表情を見合わせたまま、そのままシニカルに低くくぐもった・・・  とても乾いている笑い声をこの『』に向かって発していた。









 「・・・ 可笑しいですか?  日向さん・・・」






 「いや、可笑しくはない。とても上等な事だ・・・ この私よりはな・・・」









 笑いを収めつつある日向さんに対して、僕はこの時、何も聞かなかったし聞く気も無かったのだが、言葉以上に物語る世界は、きっと万国共通でもあるのだろう・・・






 福音を齎す物となっていたであろう本来の人類補完計画(参号計画)・・・






 E計画執行者・NERV司令、碇ゲンドウ氏と、参号計画の総責任者・人類補完委員会委員長、キール・ローレンツ氏との間に生じてしまった決定的な路線対立の意味合いとアクションの双方を、正確に理解していた者・・・






 もし仮に、父さんや母さん・・・ それに冬月コウゾウ博士(副司令)を加えた三人のネルフ側首脳部が意図するよう、みなが何も知らぬまま、静かに参号計画の『全て』がE計画の『精神』に切り替わって行ったのであれば、その後の生き残った人類の全部は、本当に『救済』と『幸福』の双方を、その身を失わずして手に入れる事が可能となっていたのであろうか?







 加持さん・・・  ミサトさん・・・  日向さん・・・






 E計画の真実に近づけた人物はみな、等しく不幸な存在にしか為り得なかったと言うのに・・・








 「・・・出来れば、一つだけ教えて下さい・・・  孤独に戦い抜いた貴方は、この後、本当に幸せになれますか? 日向さん?」






 「死んだ人間は生返りはしない・・・ だが、譲れない物の為に闘った満足感だけは辛うじて残っているだろうさ・・・  満足感、矜持心・・・ 知り合いである君の命さえをも利用して阻止しようと言う程度の自己満足な感情に、一体どれほどの正統性が残り得るものなのかも、今は解らない・・・ 私も馬鹿な男だ・・・ 万が一、幸せになれる資格が残っていたならば、護りたき者にこそ譲ろう、その全てを・・・ 」






 「ありがとうございました、日向さん・・・  どうかお元気で・・・」








 もう既に、この公園に来る前から三番目の『テストケース』である自分自身の秘密と『偶然ではない』アスカ・ホーネットの出生の秘密を受け入れる気持ちになっていたこの時の僕には、不思議とかつてのアスカのおじいちゃん・・・ 琉条ヤスジロウ氏の言う裏切られたという感情は、司令としての日向さんに対しても誰に対しても、全くに湧き起こって来なかった。






 そして、それは今や絶望の気持ちとも違う次元の物であるのだろう・・・




 ・・・そう思う。






 日向さんと同様、僕の中にも譲れない物があり、大切な物がある・・・






 そう思う気持ちだけで、この僕はこんなにも『強く』なれるのだから・・・









 Good Luck!  the Messiah



 I wish salvation to you・・・






 Good Luck!  the Strong man!



 I wish you ” BON VOYAGE ”.









 去り際に僕の肩を叩いて行った日向さんと俯かずに前を向くこの僕が、相手に対してお互いに掛け合う言葉は、期せずして同等の物となっていた。









 時に、2029年・・・・






 只一人の『女の子』を『再び』に好きになっていたから・・・






 真実を知らされてもなお、彼女の事が好きな気持ちを消せはしないから・・・






 僕の中に後悔は無い・・・






 そして、14年前には『気が付かなかった』世界の修復を、今ここで・・・







 それは、この僕、三番目の適格者(the 3rd Qualified Person)としての碇シンジが、命令権者の意図通りには動かない選択を行った渚カヲル(5QP)綾波レイ(1QP)・・・ 




 それにまた、別の観点から結果として同じ行為に至った惣流・アスカ・ラングレー(2QP)鈴原トウジ(4QP)と同様、完成された『人間』として最後まで誇りある自己を保って行く為には、どうしても必要となる大切な行動(アクション)でもあるのだった・・・・













 「・・・常任理事国ブラジル=アルゼンチン連合(UBA)の緊急・再議提案(Technical Veto Power)により再議に付(ふ)された軍事参謀委員会提出第1068号(Ordinace No.1068 of MSC)の再決議を行います。常任、非常任理事国の各国政府代表は、サンモリッツ宣言の国際精神と己の属する各国固有の法規と良心とに従い、嘘偽りの無い政府内方針を今この場にて公表して下さい・・・」








United States?




YES・・・






EU / GERMANY?




YA・・・






 JAPAN?



”RYOU” ・・・






CIS / RUSSIA?




 DA・・・






CHINA?




SHI・・・






EU / UK ?
( Great Britain and Northern Ireland )





YES・・・






EU / FRANCE?




 OUI・・・






 BRAZIL=ARGENTINE?




 Nao !!






SIL / INDIA?




YES・・・






AFU / NIGERIA?




YES・・・









 「賛成16、反対1、棄権無し。他の常任理事9ヶ国の二回目の賛同により、初回に行われたブラジル=アルゼンチン連合の再議提案(TVP)は否定されました。これ以降、軍事参謀委員会令第1068号は、正式に伍号計画(PE計画)の一環として継続されます。 ・・・想定主要作戦海域(BATTLE FIELD)は、仏領タヒチ!  攻撃開始予定時刻(ATACK START)は、西暦2029年12月8日、グリニッジ標準午前3時30分!!  当、安全保障理事会の正式決定は、国連海軍第二次連合艦隊の結成に溯って使徒殲滅作戦「ESS2029、”踊り人形”作戦 (Operation ”DANCING DOLL”)」の決行とする事務局側提出の当初案を支持致します・・・・」










(Bパートに続く)