NEON GENESIS
EVANGELION 2 #9 " Turning Point " side-C6
「どいてよっ!! 馬鹿っ!! 私は、闘いたくなんかないのにっ!!」
飛来するミサイル群を縦横無尽に避け続けながら、アスカはパワード・エヴァンゲリオンの変形機動に入っていた。
モニターに映る飛行物体の光点(ミサイル)は、ますます増えて行くばかりなのであり、地上軍(高射砲連隊)からの砲撃戦も始まってしまった今では、感覚的には、『敵! 敵! みんな敵!』という状態が一番に正しい・・・
ATフィールドが最も強力に発揮出来るタイプ・・・ 人型行動形態(POWERD−4)へと変化して、地上へと降下して行きながら、アスカは一体全体何でこんな事になり、そして、私は一体何をやっているんだろう?と言う事を僅かながらにでも疑問に感じざるをえなかった。
" ADI " open-commands informed ! "AMP-ATF" full power !!
Energy charge to "POWERD SWORD" and integrated "PES-PWS-Line"
POWERD-4 "PCS" enabled "POWERD ATTACK"
胴体から主剣(パワードソード)を取り出し、熱帯雨林(ジャングル)の切れ間へとアスカは自らの機体(POWERD−4)を降下させて行く。
闘いたくはない本心とは裏腹に、何処かの何かが昂揚して行く気持ちは、自分でもよく分かった。
フォーカス(自動焦点機能)に連動するポップアップ映像に映った第三斉射ミサイル群の接近と、ホバークラフト・コントロールの一斉逆噴射による人工的な反重力の発生を全身で感じながらに、自分の領域(ATF)が拡大して行く一体感・・・
着地と同時にスケーティング滑走で移動を繰り返し、追尾するミサイルを流れるようになぎ払うアスカは、パワード・ランチャーを一時的に切り離して、パワード・ソードに集中伝導するS2−Energyの収束を待っていた。
「 ・・・嘘っ!! ・・・エヴァンゲリオン!?」
前方の大地が開き、地中に隠されていたのであろう片膝姿勢(忍者座り?)の三機のエヴァンゲリオンが、アスカの前に現れて来る!
その姿(シルエット)は、初代エヴァンゲリオン『弐号機』のそれによく似ていた。
カラーリングは、南米の雄・・・
アルゼンチンカラーの空色基調・・・
アスカは、LNAアラートの鳴り響くコクピットの中で、とりあえず彼らの事を『水色(みずいろ)ゲリオン』と命名することにした。
「 ・・・有線式(アンビリカル・ケーブル)? ハン、敵じゃないわねっ!! 水色ゲリオンっ!!」
「違うんだっ! アスカっ! もう六体、別に居るっ!!」
アスカがもう既に勝った気になって機体(P−EVA)を突進攻勢させようとしたと同時に、目に見えて派手だった目の前のエヴァンゲリオンとは異なる迷彩塗装で密林(ジャングル)の中に隠れていた『もう一つ』のエヴァンゲリオンたちが、三機がかりの二組となって、二つの長距離砲(パワードランチャー級)を、アスカの機体(P−EVA)に向かって、その死角の中から照射していた。
白く巨大な碇シンジが、アスカを庇おうとして現れたのも一瞬・・・
対消滅を目的としたエネルギー弾が、巨大シンジごとアスカ・ホーネットのパワード・エヴァンゲリオン参号機(P−EVA03)を包み込もうとしていた。
「せ、先生!? そ、そんな・・・」
巨大シンジを貫いていた対消滅現象発生による閃光の渦の中で、驚愕のアスカは、邪魔っけな頭部ヘルメット(リビジョン2様式)を投げ飛ばして、苦悶の表情でアスカの事を庇おうとする必死の碇シンジを抱き受けようとして、目の前に向かって手を伸ばす・・・
サイズが違うのに巨大シンジとの一体感を全身で感じとったアスカは、続いて閃光の拡散と共に対消滅して行くエヴァンゲリオンのコクピットの中にあって、確かに抱き込まれたシンジ自身の暖かさをも感じていた・・・
消滅するパワードEVA・・・・
驚愕する第3新東京市・POWERS−Nerv本部(長門レミ三佐)・・・
視界の全てと意識の全てが混沌とする世界の中で、アスカはシンジと共に消えていた。
誰に解る筈でも無い歓喜の表情を、長門三佐たちに残して・・・
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