NEON GENESIS
EVANGELION 2  #9  " Turning Point "  side-D3

   


君だけを愛して
Music by T.Kurosawa










アスカ君とは、一体、何を話していたんだい?」








 去り行く二人の姿を、じっと
丘の上から眺め続けていた渚カヲルなる少年は、そう述べて、傍らに並んで居る綾波レイに向かって話し掛けていた・・・。








 静穏なる
綾波レイは、ゆっくりと、答え返している・・・









『異論も、抗議も、多分あるんだろうと思うけど』・・・」






「!?」






『・・・が貰うわね!』だそうよ。」






「ハハハ、・・・それは、それは」








 振り向いた綾波レイと渚カヲルの二人は、お互いの顔を見詰め合って笑い合った・・・







 リリンの『
恋心』とは、微妙なさじ加減一つで、どうとでも転ぶもの・・・






 求め合う二人が、反発し嫌い合う世界だって、事前に、十分に考えられた事・・・






 だけど、もし仮に、あの時代・・・、適格者(
チルドレンキャリアー/2QP、3QP)だった二人のEVAパイロット同士が、相反する噛み合わない『未来』を選択してしまっていたのであれば、今そこで歩み出す『シンジ君』の隣に居る人物とは、他ならぬ・・・








「君(
1QP)だったかもしれないよ?」







「貴方(
5QP)だったかもしれないわ・・・」










 手を握ぎる『
二人』の行く末をずっとずっと見送り続けていた『綾波レイ』なる少女の肩を、使徒(エンジェル)としての『渚カヲル』が、後ろからそっと抱きしめていた・・・






 置かれた彼の手に、左手を添え、『
綾波レイ』は言う・・・









「惣流さんは、(私達を)嫌がるかもしれない・・・」








 渚カヲルは、そう言った綾波レイの横顔を静かに見つめ直して、静かに優しく
「そうかもしれないね。彼女は、強い方のリリンなのだから・・・」とだけ答え返して居た・・・。









 そして、視線を戻し、ポツリと付け加えるように、呟いている・・・









 戦っても、戦わなくても・・・






 約束の『
彼の地(アルカ)』にて、もう一度だけ僕たちと『出会える』であろうシンジ君とアスカさんの魂に幸(さち)あれ!







 君たち二人は、今でも好意に値するリリン(
18th Angel)だったよ・・・







 
無論の事、『好き』って意味さ・・・










 それ以上何も言わない『
渚カヲル』に対して『綾波レイ』の方も、何も言わなかった。






 紅い目をした二人の視線の先に居る『
二人』は、とても楽しそうに手を繋いで歩んでいる・・・






 その瞳に映る姿は、全てを乗り越え、あくまでも、ただ楽しそうに歩んで行く
二人の姿だったのだった・・・












D4パートへ続く