ついに、DGM音源が日本で正規発売されました。
当然、筆者も発売と同時に入手しましたけど、さすが3枚組というボリュームもあって、こいつがなかなか。
さて、今回は、そんな'The Collector's King Crimson'を、幾つかのPirate音源を交えて紹介しようと思います。
では。
さて、これが'99年7月に日本で発売が開始された'The Collector's King Crimson'です。
今年の頭から春先迄に既にDGMのサイトにて通信販売が行われていた、3種類のライブをBOXセットとして発売したと言うわけです。
ただ、これがこのようなレコード会社から正規リリースされるのは、日本のみですし、既にDGMのサイトで公開されたものとはいえ、Fripp翁の日記と幾つかの写真を収めたブックレットも付属するなど、こりゃ通販で購入した人はちと悔しがりかねない内容となっているんですな、これが。
さて、今回収録されたのは、'69年のMarqueeでのライブ、'72年の雨のJacksonvilleライブ、そしてJamie在籍時の多分まともな音源はこれだけだろうと思われる'72年のBeat Club出演時のスタジオライブの3種類。
しかも、'69年Marqueeライブにはボーナス音源(こいつがまた一筋縄ではいかない貴重なものと来た)も収録されてたりする。
さて、'69年のMarqueeライブ、これってPairate盤やトレードテープの世界では有名な音源、'69年7月6日の公演のもの。
Pirate盤のCDでは'THE LURKING FEAR'が有名。
ただ、この音源はかなり問題があるのも事実で、'THE LURKING FEAR'でもフルレングスで収録されている曲は半分の3曲のみ。
ところが今回のDGM音源は、多分'THE LURKING FEAR'と同じ音源を使用しているのだろうけど、例えば一部カットが目立った'Drop
In'もフルレングス収録になっている。
だけど、'21st Century Schizoid Man'は、やっぱり頭の部分が切れているのは、もうこれは完全に元の音源の問題でしょう。
ちなみに、'THE LURKING FEAR'には細切れで収録されていた'Epitaph'は、今回のDGM音源には収録されなかったのだけど、さすがにあの細切れの状態だといくらコレクターズ向けのリリースとは言え、さすがにFripp翁の許可は降りなかったのでしょうな。
さて、演奏のほうだけども、正直かなりおもしろいし、演奏内容も充実しております。
特に、完全収録ではないのだけど冒頭の'21st Century Schizoid Man'の演奏は、曲の構成が未だ少し出来上がっていないようだけど、かなり迫力があるし、何といっても先に発売された'Epitaph'ライブでは何となく情けなかったFripp翁のソロも、こちらのほうが収録は古いのだけどはっきり言って充実したソロを弾いているじゃーないですか。
それと、今回この音源を改めて聞いて思ったのでけど、'Mantra〜Travel Weary Capricorn〜Improv'の流れって、意外にも、構成があってのインプロビゼーションだったのですな。
先の'Epitaph'ライブでも収録されていたように、この音源でも'Happy Family'のリフが登場しているのだけど、その他のパートも個々のソロが入る部分はフリーだけど、演奏の流れに戻る部分はキメがあったみたいです。
さて、この音源に収録されているものの一番の注目は、ボーナストラックでしょう。
そう、Fripp翁も'ディープなファンには有名な'と言っている'Trees'が収録されているのです。
さすがに、音質的にはかなり苦しいのだけど、過去にこれが収録されたPirate盤の音質から比べれば、これで十分でしょう。
三声コーラスを基本にして展開されている曲は、正直言って未完の曲とはいえ、これが完成していたらCrimsonにもう一つ代表曲が出来たんじゃーないかと思わずにはいられない。
間奏部分もメロトロンとちょっと変わったニュアンスのコード進行のギターのアルペジオで、非常におもしろい。
Fripp翁は、結局この曲はこれ以上の発展は無かったとは言っているけど....
さて、このMarqueeライブの前日には、あの有名なRolling
StonesのHyde Parkコンサートに出演しているのは有名な話ですが、こちらもPirate盤になっています。
フェスティバル形式のコンサートなので、元々演奏時間も1時間弱でしょうが、残念ながら冒頭の'21st Century Schizoid
Man'が収録されていません。
と思ったら、収録されているGregのMCをよく聞くと'IN THE COURT OF THE
CRIMSON KING'の前に、'GET THY BEARINGS'も演奏したようであります。(99.08.01
加筆)
ちなみに、Fripp翁がファンから貰ったHyde Parkライブのテープもそうだったそうなので、多分同じ音源なのでしょう。
さて、2枚目は2度目の解散が決まった後の'72年USツアーの音源。
'CIRKUS The Young Persons' Guide
To King Crimson LIVE'で一部紹介された音源がほぼフルレングスに近い形で収録されています。
(すみません、'CIRKUS The Young Persons'
Guide To King Crimson LIVE'収録の'Ladies Of The Road'はOrland公演のものでDGM音源とは違う日のものです。99.09.19訂正)
まあ、何といってもある意味もっとも凶暴な時期のCrimsonですし、'Earthbound'と同じカセット音源なんで、もうリミッター振り切りっぱなしの音質も変わらずと言ったところでしょうか??
収録曲のほうは、この時期のセットリストどうりといったところ。
ただ、この時期も何らかのインプロビゼーションが演奏されていた筈なのだけど、Fripp翁も語っているとうり、この時期の(特に'72年のUSツアー)インプロはインプロというよりも簡単なリズムとコード進行によるジャムになっている事(つまり'Eathbound'の'Earthbound'や'Peoria')もあって、この音源からはカットされたと思われるのであります。
つまり、この音源は正確にはフルレングスの収録では無いんじゃーないでしょーか??
さて、内容を見ていくと、いつもよりメロトロンの使用が多い'Picture Of A City'や、ツインメロトロンが効果を上げる'Cirkus'なんかは、なんだかんだ言っても迫力もあり演奏も充実しているだけど、逆に本来神秘的な'Formentera
Lady'が後半は殆どSAXを中心にしたジャム状態になっているのはちと残念。
ちなみに、'The Sailor's Tale'は'Earthbound'に収録されたもの。
ただ、'Earthbound'ではカットされたIanのドラムソロも含めた収録になっているのだけど、そのドラムソロの後半は'Earthbound'の'Groon'と同様にVSC3による加工がおこなわれているのです。
でも、Ianのダブルバスってちょっと危なっかしいんだけど、Crimsonの歴代ドラマーの中では一番迫力あるね。
ところが、ちょっとおもしろい発見を一つ。
実は、この盤のジャケットに使われている写真に注目。
なんと、Ianのドラムセットがシングルバスなんです。
うーん、良く判らないけど、シングルバスでもライブを行っていたという事なんでしょーね??
さてさて、最後はJamie在籍時の'72年のThe Beat Club出演時の音源。
こちらのほうは、LDの'Beat Club'シリーズで、動くJamieが見られる事で話題になったドイツのTV番組'Beat
Club'出演時に収録されたものです。
先のLDで'Lark's Tongues In Aspic Part I'が公開され、この音源を使用したPirate盤も沢山出回ったのも有名な話だけど、今回のこの音源には、はっきり言って脱帽状態です。
Jamie在籍時の音源ってのは、幾つか存在しているのだけど、残念ながら皆ひどい音質のものばかりなのです。
特に、Jamieはパーカッションプレイヤーなので、彼が出す音はとにかくダイナミックレンジが非常に広いのだけど、故にJamieのプレーのニュアンスを感じられる音源ってホントに無かったんですね。
ところが今回の音源はTV用のモノラル音源(っても、他の2枚もステレオ音源って言えないような気もするんだけど...)
とはいえ、Jamieの各種のパーカッションがそのニュアンスも含めて十分に堪能出来るのです。
この時期、つまり'Lark's....'発表前のツアーは、英国の雑誌で各ライター達が皆絶賛していたのだけど、この音源を聞くとその理由も良く判るのです。
特に、30分近くに渡る'Improv:The Rich Tapestry Of Life'(また、後付けのタイトルでしょ^^)は、Johnの歪みまくったベースとJamieのパーカッションが先導し、様々に形を変えていく非常に充実した演奏が聴けます。
ちなみに、後の'Starless and Bible Black'に収録されたインプロナンバー'We'll
Let You Know'、'Starless and Bible Black'、'Red'に収録された'Providence'なんかで使用されたリフやら流れがこの演奏に見られるのは、非常に興味深いところでしょう。
それと'Exiles'はイントロが、この曲の元になった'69年時の'Mantra'と同じようにメロトロンではなくギターで演奏されているところとか、Davidのバイオリンパートはテーマ部分は出来ているのだけど、ソロ部分は未だ未完成だったり。
でも、この'Exiles'は良い出来だと思うね。
なんてったって、スタジオ盤でも収録されたJamieの細かいニュアンスのパーカッションもちゃんと聞こえるし。
最後の'Lark's Tongues In Aspic Part I'は、当然LDと同じテイク。
でもって、コーダの部分が未収録なのも同じ。
(コーダの部分は、この当時未だ出来ていなかったとの説もあります。でも、LDを見ているとあの後も続きそうな雰囲気はあるんですけどね????99.08.01
加筆)
と言うことは、この音源は放送用に整理された音源だけで、マスターは無いって事なんでしょーか??(まあ、コーダの部分はホントに無かったのかもしれないけど.....)
だけど、思うのだけど実は'Improv:The Rich Tapestry Of Life'を収録したPirate盤も存在するのですけど、と言うことは、これって全て放送されたのかしら???
ちなみに、こちらのPirate盤の音質はあんまし誉められたもんじゃーありませんし、曲のタイトルは何と'Muir's
Bremen'(!!!!)。
あ、Pirate盤ではJamieがフルートも演奏しているとクレジットがありますが、これ間違い。
このフルートはDavidの筈です。
さて、多分年末には同じようにDGMのコレクターズ音源を使用したBOXセットの第二弾も出る筈です。
ほかにも、'74年のNew York Central Park公演(名演です!!!)やら'Earthbound'のリニューアル盤やら、'96年のメキシコツアー音源(99.08.01
加筆)等々、色々な音源が出てくるでしょう。
楽しみではありますが、やはり財布の中身が気になりますな....
ちなみに、現在のCrimsonの方はというと、'Projekct
4'のライナーにあるように、一応レコーディングも始まるようですけど、残念ながらTonyがPeter
Gabrielのレコーディングとツアーの為に不参加が確実、Billも既報のようにソロツアーの関係と、Fripp翁のV-Drumを使用するアイディアに反対して多分不参加になりそうだとか....
正直、ちょっと不安。
特に、現在のCrimsonのおもしろさは、この2人のリズムセクションにあると思うんだよなー。
まあ、レコーディングには参加せずとも、出来れば西暦2000年のツアー(年内のツアーは無くなったようです)には2人とも参加して、スタジオ盤をライブでまた違うものにするだけのエネルギーを見せて欲しいものであります。
PS: |
久しぶりにDGMのサイトを覗いてFripp翁の日記を見てみると、Fripp翁とBillの対立は解消に向かっている見たいです。 ただ、Billのツアーは未だ終わっていない(9月迄??)ので、そうなるとレコーディングの開始は遅れそうですね。 ただ、もしかしたらレコーディングには参加せず、ツアーのみの参加の可能性もあるみたいです。(99.08.01 加筆) |
PS2: |
あ、'Earthbound'のリニューアルリリースは無くなったみたいです。 その代わりに'Ladies Of The Road'というタイトルのやはり'72年USツアー音源の発売が検討されているみたいです。(99.08.01 加筆) |
PS3: |
来年早々、ついに以前からリリース予定にあがりながら見送られてきた'1974 Asbury Park'、つまり俗に言われる'USA
II'音源がフルレングスライブで登場しそうです。 しかも、旧'USA'ライブとの2CDセットとか!!!!! (99.08.01 加筆) |
PS4: |
ついにKing Crimsonのテストケースツアーが決まりましたね。 11月から米国での数回のギグとなるそうです。 でも、予想どうりBillとTonyは参加見送りだとの事。 レコーディングはどうなるのでしょう???(99.09.19 追伸) |