The ConstruKction of Light(2000.05.07)

 黄金週間も、まもなく終わり、又普通の生活に戻る、そんなひととき、皆様いかがお過ごしでしょう??
そんな黄金週間のただなか、昨年10月から今年の頭にかけてレコーディングが行われたCrimson5年ぶりの新譜、'The ConstruKction of Light'が5月2日に発売されました。
筆者も、発売と同時に入手、ここ数日聴き込んでおります。
そんな中、何人かの方々からレビューはまだ??とのメールを頂いておりました。
(メールを下さった方々、ありがとうございます)
そこで、早速、この'The ConstruKction of Light'を聴いてみた筆者なりのレビューをお送りしたいと思います。
では(^^)/。


The ConstruKction of Light 今回発売された'The ConstruKction of Light'、5年前の前作同様、ジャケットはちと暗めのデザインであります。
レコーディングは、'ブリュー星人の家'、つまりAdrianの自宅スタジオにて行われ、追加作業がAdrianのガレージ、Patのガレージ、そしてPatの自宅にて行われました。
その後、ミックスとマスタリングが正規のスタジオにて行われ、途中クリスマス休暇を挟んだレコーディングはほぼ4ヶ月ほどで終了したようです。
ご存じのとうり、残念ながらBill BrufordTony Levinが未参加のため、Fripp翁を中心としたいわゆるダブルデュオでのレコーディングとなった訳です。
収録曲のほうは、DGMの公式サイトでのFrippTreyの日記にもあるように、'Larks' Tongues in Aspic - Part IV'、'Fracture'の続編(もしくはLarks'Part V)、'FraKctured'等々、全10曲(実際にはCDIndexでの話で、実質的には7曲)が収録されています。
加えてボーナストラックとして'ProjeKct X'名義の'Heaven And Earth'が収録されているので、全11曲と言うことになります。
いわゆるボーカル曲は5曲、作詞はAdrianで一応日本版のCDには訳詞が付いていますが、もし輸入盤を購入されたなんて方は、こちらのサイトに日本版CDの訳詞とはちょっと違った訳詞が掲載されています。
(日本語版をお持ちの方も、こちらのサイトをちと覗いて見るとよろしいかも....)


The ConstruKction of Light Inner さて、収録された各曲ですが、先に書いたように、'Larks'や'Fracture'の続編が収録されてはいますが、当然所謂後期Crimsonのスタイルを今回のダブルデュオが再生したと言うわけではありません。
スタイル的には前作の'THRAK'の路線と大きな変化は無いと言っても良いでしょう。
但し、Bill不参加の原因とも言われるV-ドラムの使用、そしてそれを利用したドラムループの使用、ボーカルへのエフェクトの多用など、Y2K-Crimsonの特徴もそこかしこに見受けられます。
トップの'ProzaKc Blues'は、まるでMike OldfieldTUBULAR BELLS-IIIで使用されたようなボーカルエフェクトが使用され、独特の雰囲気を出しています。
まあ、一応Bluesとタイトルが付いてはいますけど、やっぱCrimsonが処理するとこんなんなるんでしょーね??
タイトルチューンの'The ConstruKction of Light'はCDIndexでは二曲に分かれていますが(確かに曲調も変わります)、言葉のやりとりのような多重的なコーラスが印象的。
まさか、この曲'DGM Collectors'音源のMaqueeライブにボーナストラックで収録された'Trees'がヒントになったわけではないでしょうが.....
でも、この曲ライブでどうすんだろ???Tonyいないし.....
4曲目の'Into the Flying Pan'は、ちょっとコミカルな雰囲気ながら歌詞はおどろおどろしいです。
何となく、これもCrimson流のコミックソングなのでしょうか???(Patはポップと言っておりますが...)
さてさて、最初の問題点が5曲目に収録された'FraKctured'であります。
ご存じのとうり、レコーディング当初は'Larks'の'Part V'と呼ばれ、最終的に'Fracture'の続編としてタイトルが'FraKctured'となったという、ちと複雑な背景をもっております。
実際にリフの造りは旧作の'Fracture'の流れを組んでいますが、よくよく聴くとFripp翁が最初に'Larks Part V'としていたのも良く判ります。
改めて、'Larks'の'Part I'と'Fracture'のリフの骨格が同様の流れにあること、出目が同じって事に気づかされました。
ただ、この曲、Fripp翁のこれでもかと言うほどの作曲された変態リフが延々と続いたりして(しかもかなりの変拍子)はいるんですけど、正直なところ、ホントに'Fracture'から'FraKctured'したのかな???とも思えていまいます。
なんとなく、曲がはじけきっていないってのが筆者の正直な感想なのです。
6曲目はボーカルナンバー、でも正直筆者にはピンと来ませんでした。
そんななか、ようやく納得出来る曲がラストの'Larks' Tongues in Aspic - Part IVCode: I Have a Dream'の流れです。
こちらの'Larks'は、完全に'Part II'の流れを踏んで、ヘビーかつアクセントをずらしたギターカッティング、そこに重いBass Touch Guitarが鳴り響き、その上にFripp翁の神経質なソロ、そしてAdrianの縦横無尽なソロと、このアルバム中でもっとも充実したトラックと言えます。
又、'Larks'のラストから前作でも使用されたサンプリングメロトロンによるサウンドスケープを使用した'Code: I Have a Dream'はなかなか劇的(Crimsonにとっては久々の劇的サウンド^^)な流れですし、メロディーも良い出来です。
まあ、'Code: I Have a Dream'の評価が分かれるのは多分Adrianが書いた歌詞でしょう。
個人的には悪くは無いと思うのだけど、やっぱAdrianが書いた詩と言うことで多分皆の評価はあんまし高く無いんっじゃーないでしょうか??
(もう、これは今のCrimsonにとっては、かってPeterRichardという作詞家が居た事がトラウマになっちゃってるんですよね??)
さて、ボーナストラックの'ProjeKct X'名義の'Heaven And Earth'ですが、こちら何故か収録曲の開始前に約一分の空白があります。
(初めて聴いた時は、なんじゃこれ???って思っちゃいました。ちなみに、一部のCDプレーヤでは'-1:00'と表示されてカウントダウンが始まります^^)
演奏のほうはFripp翁のサウンドスケープの上にPatTreyがポリリズムのソロを乗せています。
意外とこの演奏のほうが筆者気に入ったりして....
一応、Fripp翁の説明によると楽曲として書かれたものをCrimsonで、インプロナンバーを'ProjeKct X'名義で発表するとのことです。
ちなみに、実際Crimsonの曲は殆ど譜面に起こされているようです。
日本版のFripp翁の日記の翻訳を見ると彼は、この事を'朝の採譜の狂乱'と読んでいますが、確かにあの凄まじいリフを譜面に起こすのは大変な事でしょーね???


 さて、駆け足で紹介しましたけど今回の新譜、前作の'THRAK'と比較すると個人的には衝撃の度合いが低いのがホントのところです。
確かに前作のダブルトリオというのは、音が整理し難いんじゃーないか??という予想を覆して、スタジオ盤ではかなり成功したと思います。
まあ、ライブのほうは日本公演をご覧になった方なら判るでしょうが、ダブルトリオをきちんとライブサウンドとして分離するのは無理があったのも事実ですけど....
(上物担当のPatTreyのプレイは殆ど、影に隠れちゃいました^^)
それとやはりBillTonyという超協力なリズムセクションがいない事もあり、どちらかと言えば'THRAK'では上物担当的なPatTreyがリズム隊として孤軍奮闘しなければならないところもこの新譜の問題だったのかも知れません。
特にV-ドラムがどうのというより、いやV-ドラムを使いながらも何となくリズムに切れが無いのが非常に気になります。
これまでのBillTonyの切れの良いリズムが、今回のアルバムでは逆に引きずるようなリズムになったように思えます。
(無茶苦茶難しい譜割の曲ばかりなのも原因かもしれませんが)
まあ、それでもかなり複雑なリズムの曲も、それを感じさせずに意外とサラリと聴かせているところはさすがにCrimsonと言ったところでしょうか??
又、今回のアルバムではFripp翁が別にムキになっているのでは無いでしょうけど、とにかくGuitarを弾きまくっていますが、その辺の暴走加減をどう評価するかが、このアルバムの評価の分かれ目かも....
まあ、そんなこんなのCrimsonですがツアーがまもなく始まる筈です。
9月には'ProjeKct X'名義のアルバムを発売されます。
10月には日本にも来るようです。
多分'96年のツアーで演奏されたように'Schizoid Man'もアンコールのレパートリーに加えられる事でしょう。
いずれにしろ、来日公演で今回のアルバムをどんな形で披露してくれるのか、指折り数えて待つとしましょうか??
(一部のツアー中のライブは'Bootleg TV'で公開されるんでしょうけど....)
でも、日本公演までにTonyBillが合流するなんざ、夢の夢なんでしょうね.......

To Crimson