X'masの夜、皆様、いかがお過ごしでしょう??
さて、我らがmoonridersが結成25周年を迎え、この12月に久々のフルアルバムを、そして全国ツアーに出ました。
ツアーのほうは、12月23日の京都で打ち上げとなった筈ですが、筆者はトリ前の12月21日の渋谷公会堂のギグに駆けつけました。
平日の週末ですんで、仕事をちょこっとサボって、渋谷にはせ参じる事となりました。
今回は、そんなmoonridersの新作とツアーの様子をレポートしませう。
んでは(^^)/。
こちらが、12月に発表された久々のフルアルバム、'Dire Morons TRIBUNE'です。
前作がメンバー個々で一人一曲の卓録集でしたので、フルアルバムとしては'月面讃歌'以来となります。
色んなインタビューを見ると、今回のアルバムではとにかく曲の出来る端っからドンドン録音、そしてエディットやらダビングやらを行う手法をとったそーです。
慶一さん曰く、'構築なんてしようがない'との発言もあります。
ただ、メンバーも認めているように、出来上がったらトータルアルバムなんていう、まさに芸歴25年のなせる技とも言えましょう。
まあ、最近はプロトゥールスを使用してのレコーディングなんで、ある意味良い方向での行き当たりばったりと言う技も使えますんで、その関係もあるでしょうね??
だから、多分前作のようなきっちりしたアレンジのベーシックトラックと言うよりも、曲の断片をつなぎ合わせるような作業が続いたのでしょう。
(前作がいかにきっちりしたベーシックトラックが作られたかは、例の'dis-covered'が明らかにしてくれた訳ですけど)
で、今回の作品はというと、かなり重みのあるアルバムに仕上がったと思えます。
アルバムの構成もトップの'Headline'によるちょっとコミカルなスタートから、シングル向きとも思える'We
are Funkees'、ラストの'イエローサブマリンがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!'まで一気に聴かせてくれます。
曲としては個人的にはかしぶちさんの'Morons Land'、メンバー競作の'天罰の雨'に圧倒されてしまいました。
で、今回のアルバムの一番の肝は何かというと、実はフーちゃんのベースなんですね??
今回、ラインといい、音といい、ベースが非常に良いのです。
フレーズ的にもひねりが利いていながらも、曲をいじった感じにせず、そして音が重いんすよね??
最終的にはミックスやらマスタリングでの処理が効果を上げたのかもしれませんけど、それでも、とにかく久々にフーちゃんのベースに感心した次第なのです。
まあ、'ムーンライダーズの夜'のような夜の闇の重さではなくて、何というか、そうアルバム全体の空気の重さが感じられるといったところでしょうか??
実際にはコミカルなアレンジやら歌詞もあるんですけど、やっぱ時節がらがこのアルバムに色を与えているようにも思えます。
このアルバムの企画もフジロックの後から始まったようですが、やっぱし9月のあの事件から戦争、そして不況、そんな世相がアルバムをマスキングしているのかも知れません。
さて、moonridersはこのアルバム発売後、12月12日の名古屋を皮切りに全国ツアー'The
big kiss off of 25th anniversary'に出る筈でした。
しかし、ツアー前のリハーサル中に何と、岡田徹氏が急病で緊急入院してしまうという大きなアクシデントに遭ってしまいます。
この事は、ツアー直前にインターネットで流れ、ツアーの実施や先行きに不安を与えましたが、残ったメンバーは5人でツアーに出る事を決め、予定どうり12月15日の福岡からツアーはスタートしました。
この徹氏抜きというフォーマット、シークエンスの使用や慶一氏が鍵盤を担当するのか等々、色々言われていましたけど、結局、徹氏のパートを基本的にオミットした形での演奏となっているようだという様子はMoonriders Web Serverの25周年ツアー特設掲示板(今回はネタばらし自由となったのは、そんな背景があったのかも知れません)で知ることが出来ました。
まあ、それでも徹氏のパート抜きでmoonridersが成立するのか??そんな疑問を抱きつつ、筆者は渋谷公会堂に向かったのです....
ちょっとだけ仕事をサボって渋公に向かいますと開場の18:00まではあとわずか、外は初雪が路面を濡らしておりますが既に雨/雪は上がって、渋公前にはライダーズファンが思い思いに開場をまっています。
ほぼ定刻に開場、中に入るといつものように最新アルバムである'Dire Morons
TRIBUNE'、そして今回リマスタリング/ボーナストラックが追加された'火の玉ボーイ'をはじめとして、CD売場が目に入ります。
ちなみに、今回の'火の玉ボーイ'ですけど、とにかく音の分離がきっちりしちゃいました。
個人的にはオリジナルのアナログ盤の良さのほうが好きなんですけど、でもあの当時のちょっと霧のかかったようなマスタリングと違って、くっきりはっきりの音像を聴くと、このアルバムがホントに凝った作りだったのが良く判ります。
でも、今回の'火の玉ボーイ'で一番の注目は、ライナーで慶一氏も言っている'ビビっていた'という当時最強と言われた細野&林のリズムセクションによる'酔いどれダンスミュージック'のアウトテイク、歌詞抜きですけど'髭と口紅とバルコニー'の別テイク(ダビングもされていません)の二曲でしょう。
ちなみに、'髭と口紅とバルコニー'はカラオケ代わりにちょうど良い??
このほか、今回のニューアルバム、そして'火の玉ボーイ'に合わせるように、各種の企画物が発売されました。
特に、過去に関係のあったレコード会社、レーベルでのメンバー個々のプロデュースや曲の提供、アレンジに関わった楽曲を集めた'The
Production Of Moonriders'なんかは、moonridersがどれだけ日本の音楽シーンに深く食い込んでいるかを教えてくれる、そんなシリーズ企画です。
他にも、'ガガンとリョウメイ'、'東京中低域'、そしてトリビュート盤と、こりゃいくら金があっても足りませんなー??moonridersのファンは??
(あ、私はあきらめました....)
さて、となりでは、今回のツアーグッズ売場があり、ファンが群がっております。
(当然、筆者もツアーTシャツを買っていたりして....)
実は、CD売場前のホワイトボードに岡田徹氏不参加のお知らせがA4の紙で貼られていたのが、何か印象的でした....
さて、自分の席を確認し、ステージのセッティングを見ようかな??と思ったら、しっかりと幕が下りています。
うーん、今回も手の内は隠したままか...と思いながら客席中央のPAブースへ。
一応これを見れば、どんな楽器を使うのか把握出来るかなと思ったんですけど、見るとそれほど多くのチャンネルを使ってない....
と言うことは、生演奏が中心になるのかな???などと思いながら席に戻り開演時間を待ちます。
一応お約束の開演を告げるブザーが鳴りましたが、まだ客電は点いたままです。
数分遅れて、開演のアナウンス、そして客電が落ち、幕が上がります。
既にMoonriders Web Serverの25周年ツアー特設掲示板にも書かれていたように、良明(トロンボーン)、慶一(バリトンサックス)、くじら(トランペット)の順でステージに登場、客席から歓声が起きます。
その演奏の影でフーちゃん、かしぶち氏が所定のポジションに着き、フーちゃんボーカルの'30'が始まります。
何と、ベースとドラム以外は、登場時の三人がそのまま管を演奏してバッキング。
但し、慶一氏と良明の管は正直かなり音程が怪しくで、フーちゃん、良く唄えたなーなどと変なところで感心(^^)。
さてステージは左に小さなドラムキットが置かれその反対の右端にかしぶち氏のドラムキットが置かれており、その左ちょっと後ろにフーちゃんがいます。
ステージ中央にはテーブルのようなものが置かれ、その後ろに左にくじら右に良明、その間が慶一氏のポジション。
慶一氏とくじらの後方にキーボードが三台くらいセッティングされています。
ちなみに、ステージ左脇には慶一氏の、良明のギターアンプの後ろには良明のテクニシャンがスタンバっていました。
(最初はコンピュータのシーケンス担当かな??と思ったんすけど、全然そんなことはしていなくて、持ち替え楽器の管理をしておりました)
演奏のほうは、特に飛び回るわけでもないんですけど、四曲目の'Che なんだかなあ'では何と慶一氏がステージ左のドラムキットに座り、かしぶち氏とのツインドラムを披露します。
Moonriders Web Serverの25周年ツアー特設掲示板にもあったのですけど、この後も含めて慶一氏は楽器をドンドン持ち替えてかなり忙しそうでした。
今回のツアーでは、メンバー個々のユニット単位の演奏がステージに織り込まれています。
そんななか最初に登場したユニットは'ガガンとリョウメイ'、'ウォークドントウスクダラン'が披露されますけど、このユニットは噂どうり、かなりユニークな存在です。
リズムボックスをドンドン走らせての'ウォークドントウスクダラン'、テーマ代わりの'ウォークドントラン'、そして'ウスクダラ'のパートの活きの良いボーカルなんか、かなりカッコよいです。
直後にメンバーがステージに戻り、良明ボーカルで'静岡'。
この曲、なんかコミカルなんだけど、逆に凄く真摯なところもあってホント不思議な曲です。
曲中では一応'静岡'の'し'でしょうか??ステージに寝っ転がった良明氏の足文字が登場。
ただねー、客席から見て'し'が逆だったのはご愛敬??
この後は一曲挟んで'THE SUZUKI'による兄弟競演。
そして、'Dire Morons TRIBUNE'の中でもシングル向きな(だけど、この曲の歌詞もかなり意味深な気がします)'We
are Funkees'。
で、今回のライブで一番注目したのが'Morons Land'。
他の曲でもそうだったのですけど、今回のライブで一番良い音をしていたのは、実はかしぶち氏のドラムの音なんす。
非常にクリアかつ重たいドラムは一番の聞き物。
そして、ステージ右にはプロジェクターでユニット名や曲に合わせたCG画像が流されてたんすけど、この'Morons
Land'から、かしぶち氏側からスポットを当ててステージ左上に演奏するメンバーのシルエットが写されるんですけど、これが無茶苦茶カッコよい。
前回のライブもそうですけど、ステージのギミックをあんまし使わなくなって来ている感じが今回もあったんすけど、このシルエット一発で演出は十分だったんじゃないでしょうか??
特に、かしぶち氏とフーちゃんのシルエットはカッコよかったっす。
ステージも中盤、今回は定番曲は無しって話でしたが、逆に'独逸兵のように(シャルロットへ)'という懐かしい曲が登場します。
途中シャンソンのテープSEを挟んだ、シャレた演奏です。
その後'Dire Morons TRIBUNE'の曲が続きますが、'今日もトラブルが...'では慶一氏の大車輪ピッキング、そしてラストでパトライトが鳴り響きます。
慶一氏を一人残しメンバーが退場、'suzki K1 >> 7.5cc'のパートへ。
そして'ARTPORT'の三名による重く、そしてパンキッシュな'気球と通信'、再びメンバーが戻り'Pissism'、一曲挟んでラストは'イエローサブマリンがやってくる
ヤア!ヤア!ヤア!'。
この曲が始まると、既に既報のとうり、メンバー全員がハンドマイクを持って、ステージ狭しと動き回り、踊りまくり、寝っころがりまくります。
いやはや、良明/かしぶち/フーちゃんの三人はステージ中央でフリまくりで、ホントSMAP状態。
でも、ホントはこの曲で徹氏がいたならなー???と思っちゃうと、少し複雑な気持ちにもなります。
ちなみに、ここまでMCは一切無かった事も書いておきましょう。
さて、当然のごとく凄まじい拍手と声援とヤジに送られてメンバーは一端、ステージを後にします。
当然のごとくアンコールの拍手が鳴り響き、メンバーもステージに戻ります。
さあ、アンコールは何か??と思っていたら、慶一氏が'Happy Birthday To You'のメロディーを奏でます。
ん??と思っていると、二人の女性がそれぞれ花束とケーキを持って登場。
そう、くじらの誕生日だったのです。
会場のファンの'Happy Birthday To You'が鳴り響くなか、花束とケーキを受け取るくじら....
かなり照れくさそうで、ステージ前にケーキを片手に出てくると、何を思ったのか自分の頭にケーキを叩きつけちゃいました(^^)。
照れ隠しか??受け狙いか??でも、この後のくじら氏、テンションがかなり上がっていたように見えます。
そして慶一氏のMCで徹氏の様子が報告されました(後、一ヶ月程度で退院出来るそうな....良かった、良かった....)。
さて、アンコールは既報のように途中に'コーヒールンバ'や'ウスクダラ'を挟み、良明の背面弾きやくじらのソロも含んだ'夢が見れる機械が欲しい'。
その後、'Headline'を冒頭に'The Donkees'、中間の歌詞では'Don't
Trust Anyone Over fifteen'。
そして、慶一/フーちゃん/かしぶち氏が後ろを向いてタバコに火を点けるとスポットが三名のシルエットをステージに写し出すなか、'Dire Morons TRIBUNE'の裏ボーナストラックとも言える'Round
Midnight'が良明のギターとくじらのミュートペットで流れます。
凄く画になるラストでした。
そして再び、メンバーはステージを後にします。
嵐のような拍手が続き、客電も点けられましたが、メンバーが再度ステージに戻り、カーテンコールの挨拶です。
良明、慶一両氏のピックやらペットボトルの投げ込み/ケリ込み(空振りあり^^)、かしぶち氏のスティックが観客に投げ渡され、大歓声の中、ステージは幕を下ろしたのでした...
(さすがにくじらのステージモニター投げ込みは未遂に終わりましたが^^)
さて、今回のライブ、感想を言えば'五人でもライダーズ、でも六人ならもっとも完璧なライダーズ'ってところでしょうか??
今回のライブでは、個人的に思ったのは敢えて徹氏のパートのカバーをしていなかったと思うのです。
つまり、徹氏の居場所はちゃんとあるし、それを埋めるなんて事は他のメンバーはこれっぽっちも考えていないのでしょう。
アンコールの時、慶一氏は'ビットール!!カムバック!!'と叫びました。
そう、やっぱり徹氏が居なくてもライダーズだけど、徹氏が居ればもっとも完璧なライダーズなのです。
以前、'ムーンライダーズの夜'制作前にくじらがハイジャックにあった際、'もしくじらが生きて帰ってこなかったらライダーズは無くなった'という趣旨の発言を慶一氏がしていますが、今回の徹氏は病気で一時的に離れざる負えなかっただけです。
是非、2002年には、徹氏の復活と'もっとも完璧なライダーズ'の姿を見られる事を、今から指折り待つとしましょうか.....