The Room Of Pirate

P.F.M.? P.F.M.!〜PREMIATA FORNERIA MARCONI(2000.11.27)

 ここのところ、何故か自宅でヘビーローテーションとなっている音源があります。
そう、今回のお題でもありますP.F.M〜PFM(PREMIATA FORNERIA MARCONIの音源なのであります。
まあ、ヘビーローテーションになっているのは、正規リリースの新譜なのですけど、きっかけは秋口に入手した一枚のPirate盤でした。
そんなPirate盤と先日リリースされた新譜の二つを中心に紹介しませう。
では(^^)/。


PREMIATA FORNERIA MARCONI With PETE SINFIELD & MEL COLLINS CADENCE & CASCADE この音源ですが、1973年のイタリアツアーのものです。
おもしろいのは、当時のプロデューサであったCrimsonPete Sinfield及び、当時Peteが出したソロアルバムの音楽監督でもあったMel Collinsとのツアーであった事、つまりP.F.M自身のプロモーションとともに、Peteのソロアルバムのプロモーションを兼ねた、当時のManticoreレーベルのイタリア向けプロモーションツアーだったようですね。
Peteはソロアルバム発売直後に'The Hole of Soup'というバックバンドを連れてTVやラジオでのプロモーション、小規模のツアーも行っていますが、このP.F.Mとのツアーでは先のように音楽監督のMel Collinsの他はP.F.Mのメンバーにバッキングを頼んだというわけです。
そういう意味でもManticoreレーベルのプロモーションパッケージツアーであったという訳です。
PeteCrimson脱退後、ソロアルバムの製作とともにプロデューサ業に乗り出し、Roxy MusicEL&Pで成功を収めた訳ですが、Manticoreレーベルの戦略的な意味合いもあったのでしょうが、イタリアのトップグループであるP.F.Mの世界進出のプロデュースを行う事となった訳です。
作業的には、P.F.Mの歌詞の英訳化とサウンドのリプロデュースとなったわけですが、イタリアで既に出ていたアルバムのリメイク的なアルバムではありました。
曲の並べ替えや何かも行われたのですけど、実際にはその後もイタリア語で唱われている曲もあったりして....
さて、こちらの音源は'73年のツアーでありますので、アルバム的には世界進出第一弾'THE PHOTO OF GHOSTS'が出た頃のものでしょう。
収録曲もそこら辺の曲と、'MANTICORE JAM'なんて後付タイトルがついたセッション(P.F.Mの各メンバー、プラスMelのソロをフューチャーしています)がP.F.M名義での演奏と言えましょう。
そしてPeteの方はソロアルバムの曲と'CADENCE & CASCADE'を披露しています。
音質的にはオーディエンスものですんで、そんな良い音ではありませんけど、意外とバランスは良いです。
一応二枚組ですけど、これ、フルレングスでは無いような気がしますね、ホントは後数曲演奏してたんじゃーないかな??
特に'La Festa'が演奏されて無いしね....
ちなみに、この音源を出したレーベル、名前がふるってまして、何と'IL YARINIGE'と言います。
イタリア語みたいに(思えんかなー、やっぱ)見えますけど、これれっきとした日本製ですね。
ちなみにCDのレーベル面とレーベルマークを見るとレーベル名の意味がよりはっきりしたりして(^^)。
まあ、その名のとおりこの音源以外、このレーベルのものって見たことないわな....


P.F.M'COOK' P.F.Mのライブ音源って正式なものは、一応四種類ある筈です。
ただ、一般的に正規アルバムで言えば'Passpartu'以降のP.F.Mって普通のロックバンドになったというか、Di Cioccioがボーカルに専念した所謂イタリア版後期Genesisになっちゃってますんで、P.F.Mらしいライブ音源というとこの'COOK'か後で紹介する'Absolutely Live 1971-1978'と言うことになるんじゃないでしょうかね??
'COOK'のほうはご存じのとうり'74年のUSツアーでの素晴らしい演奏の記録です。
シングルアルバムですんで収録曲はちと少な目ですし、エディットや多分カブセも行われていると思いますが、それを差し引いても、このUSツアーがいかに成功し、まさにイタリアのバンドで初めてUSチャートにアルバムを送り込むと言う快挙を成し遂げたのが、そのP.F.Mの高い演奏能力と作曲能力にあった事を物語っていると思います。
トップに収められた(実際、'74〜'76年のツアーでは殆どの場合トップナンバーとして演奏された)'Four Holes In The Ground'での早いパッセージの見事な演奏、そしてダイナミックな'Celebration'からエモーショナルな'Poseidon'の流れ、B面での素晴らしいインプロビゼーションを交えた演奏と、文句無しのライブアルバムと言えましょう。
このライブって当時のイタリア系バンドだけでなく、ブリティッシュロックやアメリカンロックのライブアルバムと比べても遜色の無い出来だったと思うのですよ。


ABSOLUTELY LIVE 1971-1978 こちらは'96年に発表された所謂ボックスセットによるライブ音源です。
Di Cioccio自身の手になるブックレットは、なかなかの力作。
タイトルどうりデビュー当初の'71年から先にもいったようにP.F.Mらしかった最後の輝きとも言える'78年の'Passpartu Tour'までの音源が四枚のCDに収録されています。
先程からP.F.Mらしかったのは'78年頃までと言っていますが、これは筆者の意見ではなくて、このボックスセットの音源を編纂したDi Cioccio自身が発言している事なのです。
一枚目のCDではP.F.M結成当初の'71年から'72年のイタリア国内ツアー(と言ってもクラブツアークラスと思われますが....)の音源ですが、結成当初と言うことでオリジナルよりもCrimsonJethro Tullのカバーが非常に興味深いですな。
まあ、当時から演奏能力は十分なものがあったと思いますから、意外な難曲もしっかりと演奏されているのが、非常に印象的です。
CD、二枚目は先の'COOK'と同様'74年のUSツアーの音源です。
一応、フルレングスのステージを思わせる編集なんか、気の利いた作業が行われています。
ただ、音源的には先の'COOK'でのアウトテイクというか、ボツ音源のようで演奏やボーカルはちと粗めです。
(ラフミックスのテープしか残ってなかったのかも知れませんね....)
それでもこの当時の演奏が実に充実したものであったかは、良く伺えるところでは無いでしょうか??
三枚目のCDUSツアーから戻り、英語のボーカルの重要性を強く感じたP.F.Mが自分たちでプロデュースしていた弟バンド的な立場の'ACQUA FRAGILE'のボーカルであったBernardo Lanzettiを引っこ抜き、英語のボーカル面を強化、そしてアルバム'Chocolate Kings'を発表した直後のワールドツアーの音源です。
まあ、収録はイタリア国内のようでありますが。
ただ、このアルバム、ワールドワイドでは差程目立った成果は挙げられなかったようです。
まあ、アメリカを皮肉ったタイトルとジャケットというのも、特に米国ではジョークとしても受け入れ難かったんじゃーないでしょうか??
尚、この時期に行われた唯一の日本ツアーは、かなり評判となりました。
いわゆるヨーロッパの大陸系のバンドで日本で受け入れられたのは、このP.F.MとオランダのFocusぐらいですからねー。
ただ、個人的にはLanzettiのボーカルってあんまし好きじゃないな....
四枚目のCDは、ついにMauroが脱退、各メンバーはViolin以外のパートを入れようとしていたら、何故か米国から売り込みにきていた、Its a Beautiful DayGreg Blockが参加する事になり、結局元のフォーメーションとなったP.F.Mがアルバム'Jet Lag'発表後に行ったツアーの音源です。
個人的にはこの頃のP.F.Mも'74年のUSツアーの頃と同じ、もしくはより演奏力がアップしたように思えます。
正直に言えば、GregのほうがMauroより安定していると思えますしね。
しかし、このツアー後残念ながらGregが脱退、'78年、このフォーメーションのP.F.Mの最後の輝きとも言える'Passpartu'ツアーの音源で、このボックスセットは締めくくられています。
その後、Premoli、そしてLanzettiも脱退、そしてP.F.MDi Cioccioをメインボーカルに据えた、普通のポップなロックスタイルの所謂イタリア版後期Genesisへの道へと進んで行ったのでありました。


PFM :serendipity P.F.Mは、'80年代後半までイタリア版後期Genesisのような活動を続けます。
途中、'Miss Baker'のような佳作も出していますが、正直往年の面影はありませんでした。
しかし、'90年の後半から'73〜'74年のフォーマットでのP.F.M再結成の話がちらほら出始めました。
しかし、Mauroは参加を固辞し、結局、Di Cioccio-Djivas-Mussida-Premoliの四人でP.F.Mは再結成されます。
'98年のライブアルバムを経て、この2000年期初のアルバムとなったのが':serendipity'なのです。
筆者は、このアルバムがそろそろ出そうだと話は聞いていましたが、たまたまCD屋で出くわして、三分悩んで(^^)、買ってしまったのでした。
収録曲は11曲ですけど、聞いてて思ったのは、当然'70年代のフォーマットとは言え、今のP.F.Mはやはり現代のバンドになったのだなーってところですね。
今風にボーカル曲を中心に529秒以下の曲の長さとか....
前半は、何かBeatlesのベスト盤に合わせた訳では無いでしょうが、Beatlesを思わせるアレンジの曲が収められています。
四曲目なんか、どマイナーに弾いたベンチャーズみたいなリフの曲とか....
七曲目以降は、昔のファン向けなのかな???サンプリングメロトロンとか、Mussidaの特徴的なワウをかませたGuitarなんかも登場します。
10曲目から11曲目のコーダ的な流れなんかは、往年の'Poseidon'みたいなアレンジか???
ただ、全体的には今風のサウンドプロダクションのクセして、ちょっと耳障りは古め???って言う感じの仕上がりですね。
悪いアルバムでは無いと思いますよ、これ。
ただ、チャートを荒らすような、いわゆる一般化されるようなアルバムでは無いでしょうね。
それと、Premoliのソロ(まあ、昔みたいにMini Moogを弾いて欲しい訳では無いですけど)が殆ど無くて、ソロはMussidaに任せてバッキングに徹しているのが、残念と言えば、残念かな....


 さて、今回はP.F.Mを取り上げてみました。
まあ、純粋なP.F.Mファンの方は、もっと違った意見もあるでしょうが、私はやっぱり'70年代のP.F.Mが好きです。
でも、今回の':serendipity'も出来は悪くないと思います。
(だからこそ、ここんとこヘビーローテーションしているんですが)
今後、P.F.Mがどんな活動を進めるのか、ちょっと楽しみだったりする、今日この頃なのです。
では、また(^^)/。

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