The Room Of Pirate

Step Back To The EGG〜EGG(2000.08.07)

 いやー、毎日暑いっすね、Radio Gnomeです。
こんだけ毎日暑い上にここ三週間ほど、仕事に追いまくられまして、このサイトの更新がのびのびになってしまいました。
さて、今回は先日発売されたEGGのパイレーツ盤を久々の'The Room Of Pirate'で紹介しませう。
では。


Step Back To The Egg 今回、あの絶好調(最近、ちょっと不調??)だったHighlandレーベルから、何とEGGのコンピレーションライブCDが発売になりました。
収録されているのは'703月のライブと'73年のBBC出演時の放送音源です。
EGGのライブと言えば、筆者の知る限りCD化されているのはHatfield & The Northとのコンピレーション盤として発売された'CANTERBURY LIVE TAPES'ぐらいだと思います。
まあ、正直なところ'CANTERBURY LIVE TAPES'のEGGの音源はまさに音の固まりのようで分離も悪く、しかも音のレベル的に非常に苦しいものでした。
それでも、EGGの数少ないライブ音源と言うことで意外と貴重かな???と思っていたのですけど、今回の音源は、音質的にも十分満足のいくレベルのものになっています。
'CANTERBURY LIVE TAPES'も'70年のライブだったわけですが、時期的には近いものなのでしょうけど一応出所は別みたいですね。
ちなみに、前半で驚く事と言えば、'70年の後半に発売されるセカンドアルバムの曲をかなり多く、殆ど出来上がったアレンジで演奏しているところでしょう。
まあ、セカンド向けというよりファーストからは落とした曲というのもあったのでしょうが、そのことをさっ引いてもおもしろい事実かもしれません。
又、後半のBBC音源なんですけど、実はこちらのほうが非常に興味深いものがあるんですね???
収録曲では、ホントにEGGが演奏したの???とも思わせるミュージカルソングの定番'There's No Business Like Show Business'(つまり、'ショーほど素敵な商売はない'であります)を、女性ボーカル(誰なんだ??これ??)をフューチャーして演奏しているなんてのもあります。
でもそれより興味深いのは、'73年と言うと実はEGGの再結成アルバム、'74年のサードアルバムの前年なわけです。
EGGは実際にはセカンドアルバム発表後の国内ツアー後、金銭的な問題もあり解散していますので、レコードデビュー後わずか一年半程度しか存在しなかった訳です。
その後、Daveは色んな職業を経験しながら、'72年には旧友Steve HillageKHANにゲスト参加、アルバム'SPACE SHANTY'ではSteveとの絶妙の絡みを披露しています。
何か、KHANについては曲が古くさいなんて言われ方がされますけど、曲の出来も含めて、冒頭とラストのSEを除けば、良い出来だと思うんですけどね????
そしてDaveHatfield & The Northの結成に参加、'73年に金字塔第一弾'Hatfield & The North'を発表したわけですが、そんな中、合間を縫ってEGGを再編し、サードアルバムをレコーディングしたわけではあります。
と言うことはここで収録されたBBC音源は、そんなEGG再編とリハの直前か真っ最中に収録されたものと言えるわけです。
結局、EGGは再編によるサードアルバム発表後、ツアーも行わず再度解散してしまったわけですから、そういう意味でも貴重なライブ音源とも言えましょう。



EGG(First) さてさて、EGGは'70年にグループと同名タイトル'EGG'にて当時のDeccaレコードの実験的レーベルだった'DERAM'からデビューしています。
さすがに新人グループですから、レコーディングもわずかな日数しか与えられなかったようで(この辺は金銭的な問題を除くと、Crimsonのような自分たちで音源/製作管理を行っている場合と比べるとかなりバンド側の自由度を制約していたようです)、多分レコーダーも良くて8トラック(もしかすると4トラック???)程度でしょうから、そんな録音的に凝った事も出来なかったようです。
一応、Daveのキーボードパートはメインのオルガン(Hammond L-100!!!!)以外にピアノやTone generatorのカブセが行われてはいますが、元々スリーピースのオルガントリオと言うことで、音数もすっきりしていると言えましょう。
収録曲のほうは、一応メンバーの共作となっていますが、どちらかというとやはり当時音楽的なリーダでもあったMontの趣味が大きいかな???って気がします。
近現代的なクラシック的な曲の進行なんかに、その編を感じますし、ところどころにちりばめられた効果音なんかもどちらかと言えば冗談音楽系ではなくてシリアス系の色合いが感じ取れます。
あまり抑揚を感じさせないアレンジ感覚なんかが、'クラシックロック'なんていう呼ばれ方を助長したのかも????
ちなみに、この傾向はセカンドアルバムではより強調されるわけではありますが.....
で、Daveのプレーのほうは、まださすがに手堅い演奏をしているって感じですし、MontCliveのリズム隊も、NICEよりはちょっと派手だけどってところでしょうか???
まあ、EGGというバンドのテンプレートはNICEであったとは思うのだけど、ただアレンジの感覚の違いとより近現代的なクラシックモチーフが、EGGのスタイルを際だたせたんじゃないでしょうか??
一曲、Bachの'Fugue in D Minor'が収録されていますが、まあ、Daveのオルガンはまだしも、リズム隊はあんましおもしろい演奏をしているとは言い難いですね。
まあ、正直なところクラシックに根ざした部分を強調する為の企画だったのかもしれません。
ただ、EGG自身はライブでもBachのナンバーを演奏していましたから、そう言う意味ではバンドとしては違和感は無かったのかな???
ちなみに、BachのナンバーやBachのモチーフを加えた演奏はライブのほうが、圧倒的におもしろいっすけど。
(ただねー、この手の曲になるとDaveのオルガン、Keith Emarsonのスタイルに良く似ちゃうんだよね^^。さすがにウィンドミル・チョップはやらなかったようですけど.....))
さて、先のライブにも収録されている'Symphony No.2'の'Blane'でのインプロソロなんですけど、基本的にはエコーやファズ、ワウを利用したオルガンが中心となりますが、それを装飾しているのがTone Generatorです。
このTone Generatorですけど諸説あって、筆者が聞いた話では低音優先のモノフォニックシンセもどきと言われています。
ただ、この'Blane'の演奏を聴いていると何かリングモジュレータのようにも思えますね。
いずれにしろ、スタジオではオルガンに対して色んなフィルター処理をしているようにも思えますが、でも時間と金が無い筈だからその場でのDave自身による音の加工だったんでしょうね????
まあ、幾分時代がかった面があるのも事実ですけど、それでも今聴いても十分に楽しめるアルバムだと思いますね、これ。


 さて、今回はEGGについてのお話となりましたが、次は何にしようか思案中であります。
最近、パイレーツ盤はかなりの種類が出回ってますけど、昔の録音は、その殆どが再発や旧作をジャケ/タイトル違いで出したものが圧倒的に増えているんですよね???
まあ、Highlandレーベルがちょっと沈んできたこともありますが、こうなったら昨今話題のAYANAMIレーベルのものでも紹介するしかないかな......

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