◆ 北海道・冬 ◆

≡ しばれる寒さと、温かさ。 ≡



去年の北海道旅の報告の最後に、今年は知床に向かう予定……などと予告
しましたが(そんなところ読んでないですよね……)、急に思い立って、
冬の北海道に行ってしまいました。

日頃何となく感じている行き詰まり……そんな感傷を、真っ白な北の大地
は吹き飛ばしてくれました。

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<旅の始まり>

名古屋空港から飛んで、旭川から北海道入り。流氷を見に行くのには、女満別
降りた方が良かったけれど、今の時期、流氷を見に行くツアー客で満席。能率悪
いけれど、仕方ない。荷物は極力減らして、リュックひとつにショルダーバッグ
のたすき掛け。見るから旅人の格好で旭川空港に降り立つ。

旭川の駅まで出て、3時過ぎの電車の時間まで、街をぶらぶら。でも時間が中途
半端すぎて持て余した。やっと自分の乗る電車の改札が始って、ホームに出たら
目の前に止まっていたのは、札幌行きの特急。あれぇ……でも確か1番ホームっ
て言ったはず……と、近くにいたお掃除のおばさんに「1番ホームってどこです
か?」って聞いたら、怪訝な顔をしてここだと言う。でも、これは北見行きの電
車では……と戸惑う宿主に、「前の方に止まってるんじゃないの?」と教えてく
れた。

確かに特急の前方に電車の姿が!お礼を言って足早にそちらに向かいながら目を
疑った。確か乗る電車は「特別快速」だったよなぁ……。そこに止まっていたの
1両だけだった。すでに中は満席状態だったけど、1つ空席を見つけてぎゅっ
と押し込ませていただいた。

中にはスキーの板を持った人が結構いて、わざわざこんな電車に乗ってスキーに
行くんだなぁ……などと思いながら眺めていた。後から知ったけど、ちょうどそ
の次の日にクロカンの大会があったためだった。



<おとうさん>

電車に揺られること2時間強。遠軽の駅に着いた。ここからは宿の人が迎えに
来てくれていることになっていたので、電話した時に聞いた「鬚のおじさん
を探した……けど、いない。

駅の待合い室にはストーブがあって、学生らしいグループとかいたけど、関係
なさそう。ちょっと不安ではあったけど、まぁ、雪国だから遅れることもある
だろうと、気長に待つことにした。20分くらい待ってやっと来てくれた。宿
主の前にバスで到着する人を迎えることになってたのが、そのバスが遅れたら
しかった。

後ろの座席に2人座っていたので、必然的に宿主が助手席に。すぐに宿主は手
に汗を握った。速い!宿主には路面の状況が全く分からなかったから余計に緊
張した。でも宿の人が言うには「夏道」だと言う。路面には雪はないらしい。
でもやっぱり緊張した。



おとうさんの名刺より
後ろの2人連れの1人は、昔その宿で
ヘルパーさんをしていたらしく、その
宿の人のことを「おとうさん」と呼ん
でいた。

そのうち宿主も「おとうさん」と呼ぶ
ようになった。



<なりゆき任せ>

宿に着いて、しばらくすると夕食になった。お風呂を済ませて談話室みたい
な所に行くと、皆んな集まってお酒を飲んでいた。今日クロカンをやったと
いう話を聞いていたので、明日もやる人はいますか?って聞いたら、誰もや
らない。しかも明日の予定はもう決められていて、クロカンに執着してた宿
主はがっかり

ここの次はどこに行くのか聞かれて、あっさり「知床です」と言ったら、な
ぬ〜!って話になり、無理じゃ無理じゃと即却下の雰囲気。宿主自身、計画
に無理があると思ってはいたため、ちょっと弱気になって、あれやこれやと
話すうちに、予定はがらっと変わってしまった。

事情が分からず無茶な計画を立てた宿主に、「誰もが通る道や」の慰め(?)の
言葉が心にしみた。


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