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八ヶ岳に登り始めたころ、自分より登っている人が、横岳の方を見ながら、 「大同心」だの「小同心」だの言っているのを、?な気持ちで聞いていた。 それが岩峰であることを知ったのは、それからまた後のこと。 美濃戸山荘から北沢沿いに赤岳鉱泉を目指して歩いて行くと、やがて視界が 開けて、顕著な大同心の岩峰が見えてくる。 今回は山行直前に体調を崩し、完全復活を待たずに山に出かけてきたので、 鉱泉までの道のりも、かなりきつかった。しかし、今日は鉱泉までの入山の みだったので、なんとかなんとか辿りついた。
ひと息いれてから、明日のロスを少なくするため、大同心稜の下見に出る。 鉱泉から硫黄岳へのトレースを歩き、沢が開けたところで硫黄岳へのトレー スと分かれて、沢を上がるトレースに行く。すぐに尾根に取り付き、樹林帯の 急登を登っていく。途中で下ってくる人と会い、ルートの状況を聞くことができ た。さらに、樹林が開けるところまで登ろうと思ったけれど、疲れたのでその 手前で戻る。 赤岳鉱泉小屋では水ももらえるし、うっかり忘れたガスカートリッジも買えるし、 テント生活は水を作らなくてもいいぶん、非常にラクだった。テント場の状況 から、入山者の多さがうかがえた。 翌朝は、6時過ぎにはテント場を出発したものの、他のテントはほとんど出た後 のようだった。昨日下見しておいたので迷うこともなく、順調に大同心稜を登っ ていく。やがて視界が開けて大同心が大きく迫ってきた。このあたりは尾根が広 くなっていて、テントを張ったら快適だろうなぁ〜と思った。
大同心の基部まで上がってひと息いれる。先行チームが小同心の取付にいる のが見えた。このぶんなら自分たちが行く頃には出発しているだろうから、ちょ うどいいくらいだなと思った。大同心の基部から、大同心ルンゼをトラバースす る。もう4月だから雪崩の心配はないけれど、もっと季節が早かったら危険な場 所らしい。 やがて基部に着いてびっくり。先行チームがまだいた。しかも、まだ登攀の支度 をしていた…。 おしゃべりなリーダーのそのチームが出発していき、こちらもロープを付けて順 番を待つ。がしかし、そのリーダーがとても短くピッチを切るのでまたびっくり。
こちらはもう少し1ピッチを長く行こうと思っていたので、彼らのセカンドが1ピッ チ登っても少し待っていると、上から登ってきてもいいですよと言われ、スタート する。 出だしの数メートルはプロテクションを取れるところがないけれども、ホールドも スタンスもしっかりしているので不安なく登って行ける。チムニーに入ったところ で先行に追いついてしまった。結局、彼らが3ピッチで行ったところをこちらは1 ピッチで行ったためだが、自分としてはもう1ピッチ伸ばしたかったけれども、前 が詰まったので仕方なく、ピッチを切ることにした。 |
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