岩には全然雪が付いていなくて、アイゼントレーニングのようだった。これが 厳冬期とかで、雪や氷が岩についていて、オーバーグローブをして、ホールド を掘り出しながら登るのではまた難易度が全然ちがうと思った。まぁ、今くら いが自分のレベル的にはちょうどいいのかも…
今のビレイ点の上に核心があるためか、先行者のリードのロープがあまり伸び ない。うちのチームのセカンドが上がってきたけれども、1段下で待機してもらい ながら待つ。やっと先行のセカンドがスタート、こちらのチームはセカンドがその ままリードで登っていった。しかし、また上で詰まったらしく、ロープが止まってし まった。そのうちに次のチームが登ってきて、ひたすら待つ。やっとロープが動き 出し、やがてコールがあったため、登り始める。 チムニーをひと上りすると、「サルの腰掛け」状の岩のある核心部に出る。登り やすそうなラインを行こうとすると、「サルの腰掛け」に肩に引っかかって身体が 上に上がらない。別のラインから登ったら「サルの腰掛け」に座ってしまった。 座ると立ち上がりが大変と、事前にネットで調べた記録に書かれていたため、 しまったと思ったが、なんとか立ち上がり、そこから先は特に問題なく上まで 上がり、ひと登りで小同心の頭に出た。ロープはそこで回収し、横岳へと雪稜 を歩く。
横岳直下の岩場でまたロープを出す。1段上がって行き詰まる。あれ、右に行っ たほうがよかったかな〜などとぶつぶつ言いながら、おろおろする。しかし思い 切って上がり、ひと登りで横岳の山頂にダイレクトに出る。山頂標識にスリング をかけてセカンドをビレイしてルート終了。いつになく山頂でポーズなども取っ てしまった。
今回も山頂は快晴微風。展望を十分に楽しんだあと、下山にかかる。硫黄岳方向 へ岩場を下り、昨日の人のものらしい踏み跡を追って、稜線から大同心ルンゼへ と下っていく。さきほど歩いた横岳への尾根が見上げる位置になっている。
所どころ踏み跡が不明瞭になり、慎重にルートを選びながらクライムダウンをこ なし、途中でアイゼンが外れるというアクシデントはあったものの、無事に大同 心の基部に着く。そこからもときた大同心稜のトレースを下る。振り返ると大同 心がすごい迫力でそびえている。いつかここのルートを登りにくることがあるの だろうか…と思うが、そんな自分は想像がつかない。
赤岳鉱泉に戻り、デポした荷物をパッキングする。あまりにいい天気で、そのまま 下るのはもったいない気がしたので、昨晩食べ切れなかったうどんでカレーうどん を作り、今シーズン最後の雪の八ヶ岳を満喫してから下山した。 |
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