◆ 明神岳東稜・1 ◆


= 3度目の正直 =







【過去の敗退】

明神岳東稜には、過去2回アタックしている。2回ともひょうたん池にて敗退。
1回目は7月、豪雨に遭い、二回目は5月、直接的には降雪に遭い敗退して
きた。

今回は3度目の正直となるか、2度あることは3度あるとなるか…。

しかし、今回は天気には恵まれていることは間違いなかった。




【ひょうたん池へ】

上高地バスターミナルから河童橋へと歩き、橋から穂高連峰を眺める。向かって
右手にあるのが明神岳となるが、この山には一般登山道がない。数年前、東稜で
はなく主稜から明神岳のピークを踏んだが、そのとき、東稜を登って主稜を下り
てくる単独行の人と会った。それ以来、気になり続けているルートだった。

河童橋からは明神まで林道を1ピッチ歩き、梓川を渡り、信州大学の施設の前を
通って笹薮に突入する。赤テープを頼りに涸れた沢沿いを上り、コースマークに
導かれて足場の悪い沢を横切り対岸の斜面に取り付く。

急登だけれども、着実に高度をかせぎ、振り返ると梓川がだいぶ下のほうになっ
ていた。宮川のコルまで上がり、少し下って岩壁の基部沿いに登る。5月には一
面の雪景色だったが、9月現在は、不快な薮こぎが多かった。それでも、長七の
頭を目印に、ひょうたん池を目指して登っていく。




5月の積雪期には雪崩の恐怖に怯えて通過した、だだっ広い宮川谷を横切り、
薮をこぎながらひと登りでひょうたん池に出た。少し上のほうにテントスペースが
できていたが、他に登っている人なく、テント設営後は、徹夜運転の寝不足のた
め、昼寝に突入した。




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