乱れ撃ちディスク・レヴュー"Classic Edition 4"
<97年その2>
BRYAN FERRY "Tokyo Joe - The Best Of"
このおじさんの声というのはほんとにスケベな感じがする。情けないけどそれが妙に決まってしまう。そんなキャラクターだろう。これを朝聴いたのだが、いや全くさわやかな朝にはそぐわない。やっぱりこれは夜聴くべきものだ。 (97.5.17)
→このころキムタクのドラマの挿入歌に使われていたのだね。
FOO FIGHTERS "The Coleur And The Shape"
どうしても「昔の名前で出ています」的な語られ方をしてしまうデイヴ・クロールだが、まあ確かにあのバンドは凄すぎたからね。でもこのフー・ファイターズはあのバンドを知らなくてもきっといいロックン・ロール・アルバムとして聞こえるはずだ。そりゃあ、「ネヴァーマインド」と比べるのは酷かもしれないが。 (97.5.25)
→最近なかなか音沙汰がない。頑張れ!
SUQUREPUSHER "Hard Nornal Daddy"
最近やたらと脚光を浴びているドラムン・ベースものだが、これはそういった「お洒落」なものとは一線を画している。ジャズ+フュージョン+テクノ+パンクといった他に比べるものが見当たらない不思議な存在なのだ。決してBGMとしては聞き流せない、狂気の淵を覗き込むような感覚にさえ襲われる、そんな音だ。 (97.5.25)
→ジャズ色を強めてきているけどやっぱり独特だね。
THE SEAHORSES "Do It Yourself"
待ってました、ジョン・スクワイア。このフルアルバムは今年のベストかもしれない。ますますグレードアップしていくジョンのギター、イアンより上手い(まあ上手くて当たり前だが)ヴォーカリストの情感あふれる歌声、これはまさにロックの基本とさえ言える説得力で迫ってくるのだ。しばらくは元ローゼスの、という呪縛からは離れられないだろうジョンだが、ストーン・ローゼスを知らなくたって全然関係ない作品を作り上げたことは間違いの無いことだ。それでもローゼスとの比較を敢えてさせてもらえば、リズム隊が下手なわけではないにしても、オーソドックス過ぎることか。 (97.6.1)
→うーん、褒めすぎたな、今思うと。でも復活望む!
SAVAGE GARDEN
80年代ブームを象徴するかのように現れた「ニューロマ」グループ。バイオなど詳しいことは知らないので、パロディとしての方法論なのか、それとも超マジなのかが分からない。しかし大ヒットしているのは確かで、曲自体もクオリティの高いものだ。まあこういう曲調が当然だった時代に洋楽を聴き始めた自分にはそれほど違和感は感じなかったりするが。 (97.6.8)
→今やオーストラリアNo.1バンド。ちょっとの間に大したもんだ。
THIRD EYE BLIND
「三つ目が通る」を思い起こさせる奇っ怪な名前のバンドだが、決して怪しいものではなく、正統派アメリカン・ロックバンドだ。フーティやコレクティヴ・ソウルといった連中がヒットを順調に飛ばしているので、こういったバンドには追い風が吹いていると言えよう。そしてラジオでオンエアされやすい曲を持っているので言うこと無し。さまざまなスタイルのロックが溢れかえっている昨今、こういう保守中道を行くのがヒットへの道なのかもしれない。 (97.6.14)
→いたな、そんなバンド。でもいい曲やります。
電気グルーヴ "A(エース)"
夢でキスキスキス、キスキスキース。とか言った超ポップなシングルを引っ提げてニューアルバムが登場した。これは凄い。何が凄いかってこのクオリティは洋楽テクノと比べても少しも引けを取らないものなのだ。日本のケミカル・ブラザーズなんて言ったらかなり失礼になってしまうほど彼らは凄い。下手な物真似になっておらず、これぞテクノ!といった感じの物凄く恰好良いアルバムだ。 (97.6.14)
→卓球はもはやテクノ界では世界的な人になっちゃったからねー。
山崎まさよし "HOME"
この人の声ってかなり好き嫌いがありそうな気がするけれど、スマップがカヴァーするなど大衆的な人気をかち得てしまったような感がある。初めて聴いたとき凄く「来る」ものがあったので、現在の状況はうれしいが、ほんとかなー、というのも正直なところだ。ギターを片手に、というスタイルのせいかフォーク・ロックかと思われがちだが、同時にポップ・センスのレヴェルは高い。それが今のヒットに繋がったわけだが、こういう人が埋もれていたとは日本も以外と広い。 (97.6.14)
→また俳優もやるのだろうか?
SING LIKE TALKING "Welcome to the Another World"
この人達って大人向けのおしゃれなポップスをやっているようなイメージがあるけれども、実際にはその日本人離れしたソウル・センスには驚かされる。「スピリット・オヴ・ラヴ」なんかはその最たるもので、「日本でもっとも演歌から遠いところにあるバラード」ではあるまいか。とにかく恰好良い。三人とも一見人のよさそうなおじさん達(失礼)で、特にリーダーの「佐藤竹善」という名前が妙に日本的だったりするのに、この音のカッコ良さはなんだろう。 (97.6.15)
→ロックテイストもあってなかなか懐の深い人たち。ソロもいいね。
RADIOHEAD "OK, Computer"
心のどこかに引っ掛かる、そんな曲と唄い方で地味ながらもヒットを続けてきた彼らのサード。しかし今作は今までとは少し違い、骨っぽさが加わって大変聞き応えのあるロック・アルバムに仕上がっている。それでいて深味も増しており、これはきっと売れるだろう。もはや実力派としての風格すら漂う傑作と言って良い。 (97.6.21)
→こんなに地味だがイギリスでは超大物バンド。新作は近いか?
BOSTON "Gratest Hits"
オリンピックよりもリリースのインターバルが長い彼らだが、1994年にもアルバムを出していたことを僕はすっかり忘れており、流石に本当に忘れられた存在になりつつある。だからかどうか知らないが、このベスト盤の登場である。トム・ショルツの自家製ギターが特徴的なスペース・サウンド(ジャケットのイラスト通りのイメージ)だが、今となってはただ単に聴きやすいロック、という感じがするのは否めない。「宇宙の彼方へ」は確かに名曲だけど。 (97.6.15)
→そして99年、本当に忘れていた!
PRODIGY "The Fat of The Land"
まさに満を持して、といった感じで登場の新作だ。僕も首を長くして待ってましたよ。しかしいつの間にか超大物になってしまったもので、ジュリアナ時代から残っているではないか、思えば。ブレイク・ビーツ自体はたいして新しいものではないわけだ。もう一方の雄、ケミカル兄弟と比べると、歌モノが多いせいか、よりパンクに近い感じがする。「ブリーズ」なんかピストルズが歌ったって良さそうなものだ。それにしても「デジタル・ロック」と云う言葉はなんかダサイけど、現在最も「熱い」そして質の高い音楽だって事は間違いない。だからもっと恰好良い言い方はなかったのかなあ。「ロックン・テクノ」とかさ。もっとダサイか。 (97.6.29)
→早く新作でないのかなー。
PRIMAL SCREAM "Vanishing Point"
プライマル・スクリームって、いやボビー・ギレスピーって、こんなに「熱い」人だったっけ?イメージとしてはアルバムごとに音楽性が変わる「カメレオン・バンド」で、インタヴューなんかもいつもヘロヘロしていた。ところが今回はどうだ。歌声こそ相変わらずヘロヘロだけど、この確信に満ちた音は滅茶苦茶恰好良い。雑誌のインタヴューでもやたらと確信と自信に満ちている。正直このインタヴューを読んで感動した。よれよれのジャンキーが更生した、まさにそういった感じなのだ。前作も僕は好きだったが、「ロックス」以外の曲は余り良くなかった。そういった意味では「復活」と言って良いだろう。来日したら見に行きたい。もちろんマニとの再会も含めて。 (97.6.29)
→これも新作を早く!もう2年経っているんだなあ。
SCUDELIA ELECTRO
これはいい。ポップでヒップで、それでいて叙情的なのだ。ドラムンベースなど現代風のアレンジを施しながらもメロディがしっかりしているので聴きやすいものになっている。AIRに比べるとこちらの方がスパイラルに近い感じもするが、もう少しポップに寄っているか。もうこれはカラオケで「ベター・デイズ」を歌うしかない。体は小刻みに性急に揺らしながら、ゆったりと歌うのだ。誰も分からないかなあ。(97.7.13)
→今でもたまに聴くココロにしみる名盤。もう今度で4作目?早いな。
OASIS "D'You Know What I Mean?"
リアムのわがまま狼藉ぶりや、兄弟揃って入籍やらとワイドショーネタ(日本で言えば)ばかりを提供していた彼らだが、遂に新曲を発表、発売日の英国HMVでは零時開店にして対応したという騒ぎをまた提供することとなった。何度でも言っていることだが、日本ではまるでピンと来ない話である。それは何故か。おそらく取り上げる側に問題があるのではなかろうか。余りにもビートルズに似ているため、日本の30代後半から40代といった人達は結局「ビートルズの真似」としてしか受け取れないのだ。そうした人達が情報を発信する側に存在する場合、こうしたことが起こりうる。結局はビートルズが偉大すぎる故なのだが、それはオアシスのせいではなく、ビートルズから一つも進歩していない人達のせいなのだ。さてそれはともかく肝心の曲の方だが、ブランクがあったための何か新しい局面を見せてくれるかなと思った人には少々期待外れかもしれないが、ベタなほどのビートルズ路線は相変わらずで、ラストも「トゥモロゥ・ネヴァー・ノウズ」していたりする。 (97.7.13)
→ブリリアント・グリーンはこの曲にいちばん近い音を出すかな。
ECHO & THE BUNNYMEN "Evergreen"
ストーン・ローゼスが登場するまではアメリカン・ロック派だったので、エコバニに特別な思い入れはない。だが、あの荒涼感と、切迫感というか「何か言わずには居られない」というモノは伝わってくる、そんなバンドで、リアルタイムというより追体験に近い。そんな彼らが帰ってきた。しかし、このアルバムで聴かれる音は随分穏やかで、心地よささえ感じるものだった。確かにテクノ勢が英国を征服しようとしている中、今年ということに限ればロックとしてのクオリティはかなり高い。それにしても、これを聴いた後で「クロコダイルズ」を聴いた日には、やっぱりイアン・マッカロクも年をとったのかなと思わざるを得ないね。 (97.7.21)
→そう言えば最新作、結局まだ聴いていないな。
HURRICANE #1
一曲目のイントロが流れてきたとき、「おお、これだ」と思った。この疾走感。グルーヴ。とてもあのライドのアンディが起こしたニュー・バンドとは思えない、確信に満ちた音だ。もちろんライドは好きなバンドだった。ギターは轟音を鳴らしているのに何故か全体を覆う静謐感が好きだった。しかしこのバンドはアンディのギターは時折懐かしさを感じさせるものの、控えめだ。やはり元ボクサー、アレックスの個性がかなり濃い。このヴォーカリストの声は何か力強さに溢れている、というか、確信に満ちているのだ。これからもっともっと伸びるヤツだこいつは。 (97.8.10)
→これも最新作聴いていない。悪くはないのだが。
O.S.T. "Batman & Robin"
日本ではシュワルツネッガーが主役にならざるを得ないバットマンだが、アメリカでは大人気だったりする。さてその主題歌を担当するというのはかなりのステイタスなわけだが、今回は何とあのスマパン。これまた日本ではピンと来ない話だが、グラミー賞も獲ってしまっているのだ。それにしても何とまあポップなこと。彼らにこんな曲が作れるとは。その他にはロック勢ではR.E.M.、グー・グー・ドールズ、ブラックからはRケリーが、そしてテクノからはアンダーワールドが曲を提供している。テクノ御三家の一つ、アンダーワールドだが、この曲は少々ユーロっぽくて、ケミカルやプロディジーに比べるとロックっぽさは稀薄。 (97.8.10)
→しかし最新作でのアンダーワールドは最高でした。
SUMMERCAMP "Pure Juice"
月並みな言い方かもしれないが「疾走感」と云う言葉がぴったりのバンドだ。しかも物凄くポップでもある。明らかにグランジを通り抜けて来た音なんだけど、それとは違う明るさを感じる。こういう音が今のアメリカなのだろう。全くここまで名前通りでどうするのだ。 (97.8.23)
→前述したサード・アイ・ブラインドと並んで当時は語られた、爽やか・ロック。