きっと私の心に迷いがあったのです。応援したい2頭が、2頭とも元気に出走 することになって、本当はどちらに勝ってほしいのか、ふとした時に考え込んで しまって・・・。
勝ってほしいスギノハヤカゼ。 ひどくなる一方の花粉症。 そんな状態で土曜日まで普通に仕事をして、その日の夜の新幹線で 私は中京競馬場で徹夜をするために荷物をもって出かけました。
負けてほしくないブラックホーク。新幹線からホームに降り立ち、改札を出る直前、私は大切なことを思い出しました。
「横断幕がない・・・。」
次の瞬間、私の頭の中は半分は真っ白になって、もう半分はいったん家に戻って取りに帰るには どうしたらよいのかを考えていました。
上りの新幹線はない。夜行で戻っても翌朝、競馬場に到着するのはのぞみを使っても 開門1時間以上あと。もし、取りに戻って横断幕を張る事ができなかったら? その時、私はどう自分の心にけりをつけたらよいのだろう。 ただでさえも狭いと言われる中京のパドック。仮にもGI。
材料さえあれば、新しいのを作れるかもしれない。でも、どこで売っているんだろう。 22時過ぎても布が売っているところなんてあるかしら?とりあえず、地元の知り合いの方に相談をしたところ「開門後でも横断幕が張れるとは言えない」 ということと「材料を売っているところもないだろう」ということでした。
私は家に戻ることをあきらめました。きっとこれが天罰。情けない、馬鹿な私。2頭ともに申し訳なく、自分のあまりのアホさ加減に涙も 出ませんでした。とりあえず「明日はハヤカゼにもブラックホークにも逢えるのだ」と気持ちを 切り替えることにして、中京競馬場へ向かいました。
でも、実際には気持ちの切り替えなどできませんでした。鬱々としているところに、突然の冷たい雹。 寒くて眠れなくて情けなくて・・・。
翌朝の列の整理が始まるのが6時前だったこと。その後の開門までの時間は寒さとの戦いだったこと。 開門後に合流したYさん(前夜、電話相談に乗ってくれた方)の作ってくれた朝ご飯のおにぎりと 売店で買った豚汁がおいしかったこと。曇ったり晴れたり雨が降ったり忙しかったこと。 ダイイチアピール(ローゼンカバリーの半姉ダイイチリカーの仔)の勝利を目の前で見ることができたこと。 その日のことは、おにぎりと豚汁の味以外は、ぼんやりと覚えてるだけです。