My Favorite Tricks

Fred Kaps 特集4

The Gypsy Curse

Gypsy Curse

1997/11/26


最初に

この「ジプシー・カース」(ジプシーの呪い)は、20年くらい前に一度売り出されて、しばらく入手不可能になっていたトリックです。昨年(1996年)、復刻されました。

バズビーのカタログに載っている正式名称は、Peter Kane's HUNGARIAN GUESSING GAME です。サブタイトルに、 formerly known as "PETER KANE'S GYPSY CURSE" となっています。($20.00)

現象

基本的な現象は「ワイルドカード」です。

カップスはこれに楽しいストーリーをつけて演じています。

うちのヒーヒーヒー爺さん(笑)(grand-grand-grand-father)は「いかさま師」で、昔、ジプシーの占い師と対決したときの話をしてあげようというストーリーで始めます。

上の写真にあるような、手描き風の古いトランプがあります。6枚は黒い数字のカードで、絵札が1枚あります。街頭のギャンブルで、"Three Cards Monte"や、"Find the Lady"と呼ばれるものがあります。3枚のトランプのうち1枚が絵札で、他の2枚は字札です。裏向きに混ぜて、絵札を見つけたら勝ちという古典的なギャンブルです。

これは3枚ではなく7枚で行います。中央にある絵札が「勝ち」のカードです。 確率は7分の1ですから難しいと思うでしょう。ところがうちの爺さんは心が優しいので、相手に有利になるように条件を変えました。つまり、本当なら絵札が当たりのカードなのに、字札が当たりのカードということにしたのです。これなら相手が当たる確率は6/7になり、圧倒的に相手のほうが有利です。

ところがやはり爺さんは勝ち続けていました。なぜなら、彼は途中で全部のトランプを絵札にすり替えてしまっていたからです、と言って表向きにすると全部絵札になっています。

コメント

ピーター・ケーンのオリジナル・ルーティン自体、大変よく出来ています。上記の現象もそのまま出来ます。特に優れている点は、最後、7枚の絵札に変わったとき、裏も表もファンに広げた状態で、見せることが出来るのです。これは一般的な「ワイルドカード」を知っているマニアでも驚きます。

カップスのやっている手順は、さらにこのピーター・ケーンのオリジナルを知っている人でも驚きます。途中までは全く同じなのですが、最後、7枚が絵札に変わった時点で、すべてのトランプを観客に渡して調べてもらうことが出来るのです。驚くでしょう?マニアであれば間違いなく、ひっくり返るほど驚くと思います。

ただ、このカップスのハンドリングを演じようとすると、1組だけではできません。2組購入する必要があります。今回、私が1組注文したとき、偶然友人も1組注文していたので、借りてきて使わせてもらっています。

最後に一言

金塊

フレッド・カップスがこれを演じるときは、上の写真のような金塊(5x10x2センチ位)を取り出します。これは爺さんがいかさまをするとき、カモを集めるために使っていたものだそうです。勿論イミテーションだと思いますが、このような小道具を使うだけで、楽しさはずっと増すものです。

私はカナダの「メイプルリーフ金貨」を使っています。(これは本物)

メイプルリーフ金貨

どうでもよい一言

不思議なことに、人は本当に欲しいと思ったものは手に入るものです。実は、この「ジプシーカース」は20年ほど前、好きでよくやっていました。確か小野坂東さんが作ったものを高木重朗先生からいただいて、長年、愛用していました。ところがいつのころか紛失してしまって出来なくなっていました。

昨年(1976年)、フレッド・カップスがこれを演じているビデオを見せてもらい、また猛烈にやりたくなりました。タネンやハンクリーのカタログにはまだ載っていたので、インターネットで問い合わせしたところ、どこの店も、もうだいぶ昔から品切れになっており、製造中止になっているという返事が来ました。手に入らないと思うと、とても悔しくなります。それが不思議なもので、それから1ヶ月も経たないうちに、バズビーから新しいカタログが届きました。なんと、それにこの「ジプシーカース」がまた売り出されていたのです。

これまでにも、何かを本気で手に入れたいと思っていると、あまり時間もたたないでそれが入手できるという経験が何度もありました。本などでは、絶版になって、どこの古本屋に問い合わせても見つからなかったものが旅行先で、偶然入った小さな古本屋で見つかったこともあります。本やマジック用品に限らず、本気で願えば不思議なくらい何でも叶うものです。別に超能力でも何でもなく、意識のベクトルがそちらを向いているから、どのような些細な情報も見逃さないで、そこへたどり着くように自分で操作をしているのでしょう。それにしても、無意識の力というのは偉大なものです。

追加情報: さきほどこのページのバックに流れていた音楽は「エンタテイナー」(The Entertainer)です。

カップスがこれを演じているのを写した映像には、映画『スティング』(The Sting)のテーマ曲であるこの曲が流れていました。ただしこれはカップスが使っていたのではなく、この映像を編集した人が後から付け加えたのでしょう。

『スティング』は1973年、弟46回アカデミー賞で作品賞、監督賞他、計7部門で賞を取った大変おもしろい映画です。禁酒法時代のアメリカを舞台に、いかさま師がさまざまな手口を見せてくれます。


魔法都市の住人 マジェイア

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