Fred Kaps

Fred Kaps Special

updated on July 1, 1998


フレッド・カップスは1980年に54歳の若さで亡くなりました。亡くなる直前まで現役のパフォーマーとして活躍していたマジシャンですので、市販のビデオや印刷物に残されている彼のマジックは多くありません。生涯、本物のパフォーマーとして生きてきた人ですから、自分の演技をビデオなどに「切り売り」することはしていないのです。そのため、動く映像としては、アメリカやヨーロッパのテレビで放映されたものと、ごく一部、プライベートに撮られたものが残っているだけです。

カップスが亡くなってすでに20年近く経っています。今ではフレッド・カップスのことを何も知らないマジック愛好家も増えてきています。このまま埋もれさせてしまうには惜しいので、私の知っている範囲で、カップスがよくやっていたマジックを紹介することにしました。

ここに紹介したマジックをカップス自身が実演しているのを見れば、どれも傑作だと思うでしょう。しかしトリックそのものに良いも悪いもありません。良いマジシャンと良くないマジシャンがいるだけです。「タネ」は素材にすぎません。センスの良い、上手な料理人の手によって料理されると、大抵のネタはおいしくなるものです。マジックも同じです。フレッド・カップスのような名人の手にかかれば、どれも不思議で楽しいマジックになってしまいます。タネの力ではないことをわかってください。

重要さの割合で言えば、タネが1割、腕(テクニック)が2割、キャラクターが3割、センスが4割といったところでしょう。タネは全体の1割程度にすぎません。

最後の「センス」は厄介です。「金太郎飴」のようなもので、センスのよい人が何かをやると、どの部分を取り出してもキラリと光るものがあります。また逆に、センスの悪い人が何かをやると、どこを切っても、センスの悪さが出てきます。「血」のようなものでしょうから、一朝一夕にどうすることもできません。しかし、絶望することもありません。元来、芸には絶対的な評価などありません。その場の観客と、パフォーマーとの間で成り立つ相対的な評価にすぎません。観客が変われば評価も変わります。私が全然面白いとは思わない芸人を面白いと言う人がいても不思議ではありません。その逆も当然あります。つまりセンスが良いとか悪いと言ったところで、それはあくまで「私の評価」にすぎません。

私にとってはフレッド・カップスは激しく好きなマジシャンです。様々な面で、お手本になってくれています。しかし、真似できる部分とできない部分があります。カップスの最大の魅力は、彼の醸し出す雰囲気です。この部分だけはどうにもなりません。それは仕方のないことです。

誰もがフレッド・カップスから学べるいくつかのポイントをあげておきます。

1.「技法」、「ルーティン」、「セリフ」などから無駄な部分を取り去る。
2.大胆さと繊細さのバランスを考える。
3.やっている本人も楽しんでいるという感じは、観客もリラックスできる。
4.新しいマジックを追い求めるより、クラシックを自分なりにアレンジする。

どれも言うのは簡単ですが、マジシャンのセンスと密接に結びついていることばかりですので、実際には難しいと思います。しかし、このようなことを常に頭のどこかに引っかけておいて場数を踏むと、徐々に意味がわかってくるでしょう。

なお出版物やビデオは、松田道弘氏、蓮井彰氏、三田皓司氏から貴重な資料を提供していただきました。お礼申し上げます。



1:Ring on Glass
2:Dancing & Floating Cork
3:Color Changing Knife
4:Gypsy Curse (with MIDI)
5:Chinese Coin Routine
6:Short Change Trick
7:Fred Kaps' Purse
8:Bell Trick (with MIDI)
9:Three Balls Transposition
10:Coin Box
11:Cups and Balls
12:Sidewalk Shuffle
13:Ring Flight
14:Signed Card to the Box
15:Homing Card
16:Cannibal Cards
17:Surprise Stab Revisited
18:Newspaper to Bills
19:Fred Kaps' Currency
20:Fred Kaps' Wallet
21:Chinese Sticks

 


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