★ユージン・バーガー氏の御言葉
Can you keep a secret? あなたは秘密を守れますか?
Eugene Burger (1939-)
Secrets and Mysteries for the Close-Up Entertainer
マジェイアの蛇足
「あなたは秘密を守れますか?」
このあとバーガー氏は
「秘密は大切です。どうかこのことを軽く考えないでください」
と続けています。
「秘密の動作」を隠すことのできないマジシャンにマジックを見せてもらうと、それがたとえ15分であっても、観客には「永遠」に感じるほどの時間になると言っています。そのようなマジシャンと一緒にいるのは耐え難いという意味です。
「永遠」というのはバーガー氏の友人の定義によると、ミネアポリスからヒューストンまで、グレイハウンドバスでアメリカ大陸を縦断するくらいの時間だそうです。でもこのバス旅行のほうがまだマシでしょう。そこには愚かなマジシャンはいません。
「秘密の動作を隠すことのできないマジシャン」と言いましたが、これは最近一部で見られるような、種明かしをしたり、手にできたタコを自慢げに見せたりしている愚かなマジシャンのことではありません。このようなマジシャンは論外です。 (cf.「種明かし番組」について(5)」)
バーガー氏の言っている、秘密の動作を隠すことのできないマジシャンというのは、観客に何かあやしげなことをしたと気づかれるようなマジシャンのことです。観客は、正確にはマジシャンが裏で何をやったのかはわかりませんが、それでも何かあやしいことをしたと感じる場合があります。少しでも観客にこのような疑念を持たれると、それはマジックではなくなります。マジックは何もあやしげなことをしていないのに、不思議な現象がおきるから「魔法」です。
バーガー氏が先の言葉を載せた小冊子"Secrets and Mysteries for the Close-Up Entertainer"を出したのは、1982年です。当時は、現在の日本にいるような、非常識なマジシャンが出てくるなどとは想像もできないことであったでしょう。
上記の小冊子は2000年にカウフマン氏が出版した
Mastering the Art of Magic (Kaufman and Campany)
にも収録されています。