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    ジェイソンへの道
      ホラーやスプラッター映画に興味のない人でも、13日の金曜日シリーズとそれに登場するジェイソンの事は知っているだろう。 
    そしてジェイソンと言えばトレードマークたるホッケーマスク(アイスホッケーGK用フェイスマスク)を思い浮かべると思うが、実はジェイソンがマスクを被るのはPART3からである、PART2では袋を頭から被っただけのどこにでもいる(いないけど・・)
    つまらない殺人鬼でしかなかったし、そもそもシリーズ第一作には出てこない。 
    もしジェイソンがあのマスクを手に入れることかなわなかったとすれば、果たして13金はあれ程の長編シリーズになっていたであろうか? 
 
    もし彼がキャラの立っていない只の殺人鬼のままでPART3の出演を終えたとすればそこでシリーズが完結していただろうと考えて間違いないはずだ、そして我々の脳裏にゴールキーパー=殺人鬼のイメージが固着することも無かっただろう。 
    つまり、万人に愛されるキャラとしての"ジェイソン"は彼がホッケー・マスクをその身につけた瞬間生まれたのだ。 
    "マスクを付けた殺人鬼"がジェイソンなのではない、"ホッケーマスク"こそがジェイソンなのである、其処を見誤ってはならない。 
      
    なぜ彼らはマスクを被るのか
    ブギーマン/レザーフェイス/スクリームのGHOSTと、キャラの立った殺人鬼はマスクをしていることが多い、何故だろうか。 
    それは、マスクで顔を隠すことで表情を消し感情を見えなくすることが出来るからである。 
    彼らに処理される犠牲者達とそれをスクリーンを通して見ている”貴方”は、表情の見えないマスクの下に自らの想像できる限りでもっとも怖ろしい面を見る事になる、その時、無表情こそがもっとも怖ろしい表情だと言うことを知るだろう。 
    そう、恐怖にも種類がある。 
    死は本能的な恐怖を呼び覚まし、痛みや苦痛は動物的な恐怖心を甦らせる、おぞましい姿は嫌悪感を感じさせるだろう。 
    そして、理解できない物に対して人は根元的な恐怖を感じる。 
 
    彼らはマスクを被ることで人間を超越する、そしてざらざらとした異質感と理解不能な恐怖を身にまとい 泣き叫ぶ哀れな肉を切り刻みに来るのだ。 
     
    では彼らと他の殺人鬼との違いは何か。 
    それは、マスクの下の素顔が隠されているが故に普遍性を持ち合わせる事だろう、それは現実との接点にもなる。 
    例えば、素顔を晒す殺人鬼がスクリーンに出たとしよう、一例を挙げるならシャイニングに出てくる管理人ジャックだ(ジャック・ニコルソン)。 
    この映画で狂気を身にまとった存在"ジャック"は 演じるジャック・ニコルソンだけが本物であって、その他に彼が存在する余地はない。 
 
    #キングの原作とは又別の世界である、此処で言っているのは映像化されることで此方の世界に出てきた”ジャック”に普遍性が無いと言うことだ。 
 
 
    もう一つ、マスクではなく素顔でもないキャラクターもかなりの数が存在する。例えばエルム街の悪夢に出てくるフレディ。 
    ジャック程ではないにしろ、彼にも普遍性は無い。 
 
    ・・・まだ気がついていないようだね。 
    今、貴方の後ろに誰か立っているんだが。 
    振り向くな! 
    貴方が気づいていることを彼に気づかれない様に。 
    たとえ首筋に生臭い吐息を感じたとしても気がついていない”ふり”をしてモニタを見続けること。 
    モニタの表面に”彼”の顔が映り込んでいるかもしれないが見るな。  
    視線を合わせたら? さようなら。 
 
 
      
    話を続けようか。 
    例えばだ、彼がフレディのマスクを被っていると仮定しよう、あくまでも仮定に過ぎないんだが そう言うことにしてくれ。 
    今、貴方の後ろに立っている”彼”はフレディではない。 
    何故かって? 本物のフレディはマスクなど被っていないからさ。 
    マスクを被っている時点で”彼”は別人だと言うことがわかる、だろう? 
 
    ”彼”の正体を聞かれても俺には分からないな、心当たりは? 
    いいことを教えてあげようか、人から怨まれている人の9割は怨まれていることに気がついていないんだそうだ。 
    肉切り包丁を手にして目の前に表れた時、そしてその憎悪の目に射抜かれたとき、自分が怨まれ憎まれていたことに始めて気がつくんだよ。 
    今の君みたいにさ。 
    勿論俺には君を助けることは出来ないし、第一助ける義務も理由もないよ、・・ああ 可哀相に。 
    その代わり”此処”から最後の瞬間を見ていてあげる。 
    ねぇ、安全なところから人の不幸や苦痛を見物するのは最高の悦楽だと思わないかい? 
    .
    つまりだ、フレディはスクリーンの中にだけ存在する。 
    当然ゾンビもキャンディマンも現実世界には存在しない。 
    君の肉を裂くのも皮を剥ぐのも全て人間、人を殺すのは全て人間さ。 
    一番怖いのは化け物じゃない、人間なんだ。 
    . 
     
    でも、ブギーマンやジェイソンは違う。 
    元からマスクをつけている彼らは実際にこの世界に存在することが可能になっている。 
    要はマスクの中身ではなくマスクそのものがキャラクターとしての本体になっているからだ。 特にジェイソンが被っているのは一般的なホッケー用のフェイスマスク、市販のフェイスマスクを被れば誰でも簡単にジェイソンになれてしまうね。 
 
 
    さて、此処からが本題だ、次へ進もう。 
    まだ 生きているのなら。 
     
      
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