<2003.09.23 K.Kotani>「ピピアめふアニメーション教室」特別講座5


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2003年9月23日

「ピピアめふアニメーション教室」特別講座5



 9月21日午後2時から「ピピアめふアニメーション教室」特別講座の5回目として、「平面アニメーションの立体表現」が行われました。毎度の事ですが参加される人数はあまり多くはなかったのですが、終了後の感想では、「タイトルから専門的な内容を想像していたが、初歩的な事から説明していただいたので大変よく分かった」という事をみなさんおっしゃっておられましたので、今後は「びっくり! 飛び出す立体アニメ!」とかタイトルも考えた方が良いようです。


 今回の内容は、平面の描画アニメにおいて、いかに立体感を出す事に作家が苦労したかという事と、過去の立体表現を使った作品のその部分の上映ならびに技法の解説を行いました。まず、背景を一緒に書き込んでいた時代には背景動画を使用して奥行きを出したり、セルアニメを使った時代になると、マルチプレーンや立体背景が開発された事、その背景として、絵画の立体表現(遠近法など)と、写真的奥行きの表現(ピントのぼけ、ピント送りの活用)や、映画的奥行きの表現(カメラ移動による立体的表現)などが取り入れられてきた事などを解説しました。また、自主アニメ初期において、一部で試みられたマルチプレーンの使用とその失敗例(残念ながら作品が現存しないか入手できずのため上映はなし)の説明の為、マルチプレーンの「おもちゃ」(幅40cmくらいで、左右が通常の倍近くある)を使ってカメラのフォローによる立体のテストをやり、「なんとか立体的に見えない事はないが、ちゃちで説得力のない映像」を制作し、「マルチプレーン撮影台というものがいかに巨大さと精密さを必要とする機材でアマチュアには使えなかったか」という事を説明しました。


 立体背景の例として、フライシャーの「ポパイ」を上映し、大変な手間と精密な作業を必要とする技法で、かつ左右の移動にしか使えないため、その後継承するものがいなくなっていましたが、現在ではCGの立体背景により、アマチュアでも使えるようになっているという事を説明しました。
 また、現在ではコンピュータによって、アマチュアでもなめらかで立体感のあるマルチプレーン表現が可能である事を、いくつかのカット(平行移動、カメラのつっこみ、ピントの移動、カメラが前進しながら、同時に左右に移動する撮影)で説明しました。


 一連の宮崎アニメにおける「飛翔感」の表現は世界的に注目されていて、模倣が試みられた事もあるが、若干の効果はあったものの失敗に終わり、「技法・技術」の問題ではなく、「表現」の領域の問題ではないとかと思われる点、現在ではCGが広く一般映画にまで利用されていて、実写と見分けがつかなくなるほどリアルな表現になっている事などを説明してまとめとさせていただきました。
 最後に、自主作品「長距離狙撃者の孤独」を「ピント送りを使った自主作品の例」として上映しました。
(K.Kotani)

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