Episode.5

『SHADOW MOON:Side-A』


初版発行日・98/8/16(コミックマーケット【有明】)


物語

『組織』日本支部長シャドウは窮地に立たされていた。
黒須仁と沢村紅一の活躍による度重なる作戦の失敗により、『組織』最高機関である「中央評議委員会」にその責任を追及されていたのである。
シャドウの責任を問い、あわよくば日本支部の指揮権の掌握をも画策する評議会であったが、その動きをすでに察知していたシャドウは、『組織』の最高権力者である【総帥】に嘆願し、自らのそして日本支部のすべてをかけた最後の作戦を実行する決意を固める。
同じ頃、沢村はこれまで受け身ばかりであった戦いに変化を与えるために『組織』日本支部の位置特定に奔走していた。だが、その調査は難航しており、さらに警視庁内に近く創設される予定の対『組織』の特殊部隊の発足も難航していることから、何者かによる妨害
が行われているのではと疑惑を抱き始めていた。
仁もまた、前回のワスプとの戦いで現出した謎の「力」をきっかけとしてみずからの体に眠る物質変換細胞に対して疑惑を抱き始めていた。細胞の進化と、それに従うかのように戦いを求め始めている自分・・・・・・。仁は自分自身に対しての恐怖感を募らせる。
沢村にグラス・ザ・マンことスペードが接触してきた。
スペードは日本支部が大規模な作戦を準備していると告げ、またグラスホッパーにとって最大の、そして運命づけられた敵である「プロトタイプ」が出陣する事を予言する。
仁と沢村は、『組織』日本支部とのこれまでにないほどに大きな戦いが近い事を予感する。
そして、「それ」は突然訪れた。
沢村がインドラの腹心、コードネーム・ゼータが率いる機動部隊の奇襲を受けたのだ。
仁が救出に向かうが、その前に現れた銀色のメタリックボディをもつグラスホッパー。そう、シリーズすべての雛形でありながらも、いまだに日本支部最強とも謳われる改造人間「プロトタイプ」である。
その圧倒的機動力でグラスホッパーを圧倒するプロトタイプ。
トルネードが破壊され、必殺のキックさえも封印されてしまう。
また沢村も作戦執行部の総力を挙げた作戦の中で追いつめられようとしていた。
そして、二人は確信することとなる。
『組織』日本支部との決戦の時が来たことを・・・・・・

そして、その激戦の果てに待ち受けていた「あってはならない」結末。それを目にしたグラスホッパーの絶叫が戦場に響き渡る・・・・・・


作者の言葉

遂に訪れた第一部完結編!その前編がこの第五話です。
『組織』日本支部との最終決戦を二巻に分けて描くという事で戦闘シーンもドラマも相当にスケールアップさせています。
今まで日本支部より先の『組織』の姿というものは出していなかったのですが、第二部へ繋がる世界観の拡大のためにいよいよ【総帥】も登場することになりました。
また、この第五話は完全に『組織』側が主役といった展開で、シャドウとインドラ、さらにケイトといった敵側幹部の並々ならぬ決意というものを強調してみました。
そして、全ての決着は次回後編。つまり、第一部完結編でつける!
というのがはっきりしているため、この前編はとにかく、「徹底的に盛り上がるラスト!」というのが命題ではありました(笑)
最強の敵「プロトタイプ」に完膚なきまでに叩きのめされるグラスホッパー。
そして、彼が目にするあってはならなかった衝撃の結末・・・・・・
自分でいうのも何ですが、まさしく最強の「前編!」といった思いです(苦笑)
そのせいか、発行自体は夏コミにて6話と同時だったのですが、先行で春に5話だけを読んだ知人達には、これまでにないほどに「さっさと次書いてくれっ!」と散々言われる始末でした。
そのプレッシャーに苦しみましたが、作者冥利に尽きる思いであったのも事実です(笑)



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