第二部

その文章を見たのは、私が専門学校に通っていた時でした。
私は映画の専門学校に通っており、もちろんゼミでも映画製作を行っていましたが、同時にプライベートでも自主制作映画を仲間達と作っていました。
で、一年生の後期でしたが、それまで制作していた特撮系の作品の撮影が先が見えてきたということで、次回作の企画を考えようという事になったのです。
私はそのグループで企画、脚本などを担当しており(といっても主メンバー
は私含めて三人しかいませんでしたが)、物語の構成などは私に任されている状態でした。
次回も特撮系と決まっていましたが、次は何やろうか?とネタ帳をめくって
いる時、仲間がぽつりと言ったのです。
「次は仮面ライダーやらねえか?」
その瞬間、私の頭の中に蘇る一文がありました。
私のネタ帳というのは、子供時代に書き連ねていた走り書きを再構成したもので出来ており、大体4,50本分の作品に相当するアイディアが書かれています。基本的に当時書いたままの文面で起こしており、その文を見る事で私の頭の中に当時の記憶そしてインスピレーションを生むようにしてあります。
で、私はページをめくり「あの一文」をみつけました。
その瞬間、一気に私の中で世界観が固まりました。というか、子供の頃に私が思い浮かべていた自分なりの仮面ライダーの記憶が蘇ったのです。
即座に私は仲間に思い付くままに、作品のアイディアを話しました。
そして、それが次回作に決定したのです。
そう、それが「GRASS HOPPER」の誕生した瞬間でした。
走り書きとして書いた最初のアイディアから10年近く経っていました。


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