「あぶない刑事フォーエヴァー」
『ラストシーン』そして、総括


さて、ラストシーンです。
その前に、実はTVスペシャルから引っかかっていた事
を記したいと思います。
それは、ユージがしていたネクタイです。
TVでは、大きく「5」と書かれたネクタイを。そして、映
画版では、「4」と記されたネクタイを着けています。
いつも、何かしらファッションに遊びを入れる柴田さんです
から、なんか意味があるんだろうなぁ、、、と思っていたら
インタビューで、「5」については「映画の第五作目だから」
という意味が込められていたそうです。(TV版とはいえ、
フォーエバーは映画とワンセットなので)
なるほどなぁと思いつつ、じゃあ「4」は?という疑問が湧き
あがりましたが、その答えはそこには出ていませんでした。
正直言えば、おほろげながらに答えは分かっていたのですが
あくまでラストシーンを観るまでは、結論出すのはやめよう
と思っていたのです。で、、、
ラストシーン。
事件も解決して、二人はタンカーから降ろした爆弾を仲間達の待
つ岸まで運ぶために手漕ぎボートで海上を進んでいました。あの
二人がボートっていうアンバランスさに、あぶ刑事ファンはニヤ
リとしてしまいます。
その時、突然爆弾が再作動し始め、ユージは慌てます。しかし、
さきほど解体しているタカは余裕で作業に移ります。
「爆弾なんてな、女口説くのと同じぐらい簡単なんだよ」
そう軽口言ってコードに手をかけるタカ。そこでいつものジョーク
が出ます。
「どうせなら、賭けやるか?5秒以内に止められたらフルコースお
ごるってのは?」
思わずそれに乗るユージ。
そして、タイマーを無邪気そうに見つめる二人。5秒を切ります。
「フルコース、ゲットぉ!」
タカはそう言い放ってコードを引き抜きます。ユージは陽気そうに
タカを見ます。
「ゲットって、まだタイマー進んでいるじゃん、、、か?」
タイマーはゼロを刻もうとしています。思わず顔を見合わせる二人。
慌てて飛びのこうとします。しかし。
爆発!
二人は炎の中に姿を消しました。
、、、実はこのパターンは今まで何度も味わっています。その最たる
ものが、「もっとも」でのラストシーンでは、銀星会ビルの爆発に
消えた二人。誰もが二人は死んだ、と思わせたところでひょっこり
と帰ってきました。
「リターンズ」でも、ミサイルの爆発に巻き込まれながらもボロボロ
の背広姿で廃虚の煙突にしがみついて、生還しています。
正直、観客は皆、いつものお約束だと一瞬思いました。そして、
ボロボロの二人が姿を見せるだろうとも思ったはずです。
しかし。
爆発がやみ、海面に浮かぶボートの破片。そのひとつに二人のサング
ラスが仲良く並んでいます。
そこに被さってくる、エンディングテーマ。
「、、、え?」。正直、館内はまさしく凍りついていたと思います。
誰も歌の最中も立とうとしていません。
歌が終わり、スタッフロールが流れきったところで再び破片の上の
サングラスに画面は戻ります。
その一瞬だけ、場内の空気が緩んだように思いました。やっぱり
だ。さあ、出てくるぞ、、、という感じで。
でも、画面に映ったのは破片から落ちて水中に沈んでいく二個の
サングラスでした。そして、そこに被さっていく文字。
「FOREVER」、、、
映画はそこで終わりでした。
しばらく、私も含めて観客は席から立ちあがれない感じです。
あまりも、意外な、唐突すぎるラストでしたから、、、
そして、私の中ではずっとおぼろげに考えていた答えがはっきり
した時でもありました。
ネクタイの「4」は、、、「死」!
果たして、あの二人のあぶない刑事は今度こそ本当に死んでしま
ったのか?
正直言えば、あの画面を見た限りではYesです。ボートの爆発
の瞬間、その爆炎の中に消える二人の姿ははっきりと映っていま
した。
たしかに、シリーズ完結編ともとれるわけです。
でも、なぜか煮え切らないものがあるのです。
それは何か。
もちろん、ファンのミーハーな心理として、もっと新作を観たい
というのも強いでしょう。
でも、それよりも「なんであの終わり方なの?」といった疑問が
沸いているのです。
この項目の初めでも述べましたが、あぶ刑事には「もっとも、、、」
という完結編が存在しているわけです。ビルの爆発や、ミサイル
にも負けなかった二人が、爆弾ひとつで死んでしまうのか?
あまりにもあっけない、そして残念ながら納得のいくラストシーン
ではなかった。それが私の初見です。
もしも、改めてあの二人に引導を渡すのであれば、それなりにカタ
ルシスは必要だったはずです。そして、爆発オチ以外で。
いつものパターンの中で消えてしまった。そういうべきでしょうか?
もちろん、映画としてはとても面白い一級の娯楽作品でした。
手の平を返すようですが、ラストシーンだって悪くはないんです。
しかし、そのラストのショックが大きすぎたのも事実です。
そのショックが癒えれば、あれを受け入れる事ができるのかもしれま
せんが。

「あのラストシーンであぶ刑事終わりなのかな、、、」
正直、脱力すら覚えていたのですが、数日後の新聞で信じられない
記事を目にしました。
もしかしたら、続編が作られるかもしれないとのこと!
その瞬間、涙があふれそうになりました。もちろん、実現するのか
もまだ分かりません。主演のお二人の年齢的な問題もありますから。
でも、あのラストで二人は死んでいなかったかもしれない、、、!
という思いで一杯になったのは事実です。
この新作が実現して、タカとユージが帰ってきた時。
それが、私の中での「フォーエヴァー」の完結する時かもしれません。
そして、こうやって改めて完結編を作る気になっているのであれば、
もっとしっかりとした二人の最期を描いて欲しい。そんな願いに
かられています。

最後に。
私は決して駄作と思ったわけではありません。逆に大好きな作品
です。だからこそ、、という意味で書きました。
多分、公開期間中に後2回は行って、ラストにショック受けるん
だろうなぁと思っています(笑)



《 追記 》
「あぶ刑事」シリーズで吉田刑事を演じておられた俳優の秋山武史
さんが、9/28に癌のため、お亡くなりになりました。
近藤課長を演じておられた中条静夫さんに続いて、あぶ刑事に欠か
せない顔がまた一人減ってしまったのです。
最後の出演は、「フォーエヴァー」TVスペシャルの冒頭です。
病をおして、撮影に参加されていたそうで、最後まで役者たりえ
ようとしたその執念には頭が下がる思いです。

秋山武史さんのご冥福をお祈りいたします。




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