「50円玉」
すべてが虚ろであった
水溜りの上のガソリンの虹
やさしくは無い時間が
吹き付ける砂粒のように
私の肌を削る
ただ立ち尽くす私の横を
角だらけの時間が転がって行く
この日々を暮らし
この日々を喰らい
誰かを好きだといった
会う人毎に行った
旅など続ける気は無いのに
今だって
知っていることが真実か否かは
知らないから
何も知らないのと同じで
私のポケットの中には
50円のニッケル貨みたいに
小さくて穴の開いた思い出がひとつ
このむなしさを
笑えるようになってしまった自分が
悲しくて
笑ってる