「眺望」

星を見ようと外に出た
午前1時のぼやけた目に
高層ビルの屋上で点滅する
赤い航空灯

見上げる不自由な視界に
人間のいない大地を
思ったりするが
ならば思う私も居ない

点滅する光の群れの中で
わたしはこの星の
悠久の歴史の一部となり
その存在のはかなさと
その存在の確かさを
同時に感じるのだ

意味は与えられるものではなく
意味は必要なものでもない
ただ私は
ここに居る

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