「Illusion of Disillusion」

夜明けの光る海が見たい
誰も戻ることのできない遠い故郷
旅に出るあてすらないのに
ひとり夜の部屋で荷造りをする夜
過去の荷物はボストンバッグには入りきらないのに

優しくなれなかった人々の
忍び泣く声が聞こえてきて
流すともなく左目から落ちてしまった
一滴の涙
塩辛い夜の海の味

天使はこの街にも降りてはいなかった
それはしかたのない事かもしれないが

ただ、今は
夜明けの光る海が見たい

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