「Keine musik tage」
調律の狂った
ピアノが一台
ほこりをかぶって
部屋の隅にある
調律をしなくてはと
思うだけで十年
生活の中ではない
弦のさびた
ギターが3本
ほこりをかぶって
倉庫の奥にある
つたない弾き語りも
歌わなくなって十年
生活に追われるばかりで
昔はいつでも
首に下げてたオカリナも
いつの間にかネクタイに
取って代わられて
埃をかぶった楽譜が
本棚に一段ある
昔は踊るように見えた音符も
今は干からびた標本のように
カサカサの紙の上に
ピン留めされて
音楽の無い日々を
望んでなどいなかったのに