「クリスマス」

にぎやかな音楽で
初めて気がつく
今年もどうやら
クリスマスらしい

街はおそらく
例年通りの賑わいなのだろう
私の場所からは
よく見えていないのだが

こんなに心躍らないのは
なぜなのだろう
暖かい晩餐が
今年はイメージできない

まるで真空パックされたように
現実感の無い祭りが転がる

さまざまな思いをのせて
街はクリスマスに秒読み
貧乏になった私は
サンタにはなれない

やたらと派手に点滅する
ダイオードのイルミネーションは
なんだか冷たくて
ビデオの中の他人事みたいだ

ツリーを飾る気にもなれず
ましてクリスマスソングは
聞く気にもなれず
ヴィクトール・フランクルの夜と霧を思い起こす

福引で当たった
キャンディー入りの小さな長靴だけが
唯一リアルな
私のクリスマスで

このカウントダウンが
空振りだとよいのだが

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