「ある男の話」

挫折した男
時代になじめなかった男
残丘のように
平らな時代の中で一人だけ
そのあたまをだしている
「じゃまもの」
男にはわからない
自分が正しいのか
間違えているのか
たぶん
あるところは正しく
あるところは間違えている
そう男は考える
でもそれも男を安心させはしない
周りはかれをけむたがる
でも正しいことはわからない
だから男は曲がれない
だた意味もなく立ちつくす
いつになったら彼の神は
裁きを下さるのか
そしてその裁きは
男を安らぎに導くか
絶望のそこに叩き落すか

とにかく今はわからない
その男にはわからない
男はまっすぐいつまでも
いつまでも立ち続ける

目次へ