「月光クルス」

この暑苦しい夜に
一人涼しげな月
照らされたクルスは
誰に福音を授けるわけもなく

歩き続ける
からっぽな体を
ただ立ち尽くす
いっぱいいっぱいの俺を

こんなコンクリートの街でも
風は吹いている
生き物だか、死骸だか
わからない香りを乗せて

もう一度目が覚める
その時まで
眠らせてくれないか
寝苦しくてもかまわないから

この暑苦しい夜に
蒼く涼しげな月
照らされたクルスは
俺に福音を授けるわけはなく

こんなコンクリートの街でも
風は吹いている
ゆらす花の一輪も
咲いては居ないとしても

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