「業」
見るがよい
あのときのお前の顔が
俺を許さない。
罪状として突きつけられた
血まみれた肉の塊
号泣する本能と
底知れぬ虚無
通り過ぎた、めのこたち
いまでは人の母であろう
立ち止まって思うのだ
我はその業ゆへに
人の父とはなれなかった
どんなに笑っても
私は彼らと違う形
悔やもうにも
悔やむべき対象すらない
そして幻想の中で
いつもの夢の中で
繰り返される歌のように
俺を責める言葉が聞こえる
聞くがよい
あのときのお前の声が
俺を許さない。