「異形」

どこの空間に        
 歴史を刻んできたのだろうか

異形 の者         

必ずめぐる月日と裏腹に   
わずかの血と肉と悲しみで  
 時を閉ざした 砦     

人が            
怒りと苦しみに 生きる時も 

 世が           
喜びと慈愛に 満ちる時も  

ひたすらに         
 鳴り続く         
くさるように        
 波の音          

どこの空間に        
 足跡を残してきたのだろうか

異形 の者         

かたくなな表情を鎧にして  
異なる血の匂いにおびえつつ 
 言葉閉ざした 砦     

人が            
愛憎と欲望に 生きる時も  

 世が           
悲しみと絶望に 満ちる時も 

ひたすらに         
 鳴り続く         
おちるように        
 波の音          

同刻に在るその姿は     
  まだ共に在る      

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