「生きる」

奇跡的な誕生と
日常的な死の狭間で
僕らは綱渡りのように
生きているはずなのに
そんな緊張感は
とうに忘れ去られ
今日という日の
なんと言う無防備さ

それこそが
生きるということなのだ
それこそが
歳を取るということなのだ
しかし
時にきしむこの体が
僕をふと
我に帰らせる

今在ることは
ありがたく
明日在ることは
予定外で
次に踏み出す一歩で
どんでん返しかもしれない

だからといって
そんな緊張の中で
暮らすことは難しい
僕は当たり前のように
今日を享受し
他者の死に触れたときだけ
少しの後悔をする

明日は知れないが
もう少し体をいたわろう
そしてたまには
感謝をしよう

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