「虚人」
どこにも
ささらなかった私のくさび
どこにも
かからなかった私のこころ
後ろに本気がないのなら
何の力も持ち得ない。
まるで見せつけるようにして
いつも、せめてもの虚勢
嘘と笑いで貼り付けて
愛想笑いが板につき
おかげで顔は筋肉痛。
つるむのは
生きるのは得意ではない仲間たち
つるむのは
死ねるほど運の許さぬ仲間たち
せめてなめあう傷跡を
あざ笑うのもまた弱さか。
いつの時代にいたときも
どこの街にいたときも
私の足跡は残らない
どこを歩くこの足も
地に着いてなどいないから。
どこにも
ささらなかった私のくさび
どこにも
かからなかった私のこころ
流れ者を気取って見せて
残らぬことを良しとする。