「また来る夜明け」

いくつかの街並みの面影
取り違えた思い出
どこまでが本当だったか
今となっては判りようもないが
それでも、引きずっているだけではなく
どこかでけりをつけなくては。

いつだって夜は穏やかだったが
いつまでも続くわけでもない
別に望んでなどいないのに
誰にだって等しくやってくる
朝は残酷にやってくる。

いくつもの往き過ぎた横顔
読み間違えた距離
傷つけたのか、触れもしなかったのか
会話もなかったので
今更、知りようもないが
ただ俺は、臓物のはじけだすほどの
狂気の足音を聞いている

いつだって夜は味方だったが
いつまでも続くわけでもない
別に望んでなどいないのに
俺にだって等しくやってくる
朝は無神経にやってくる。

知りはしないことだ
盲目を誇示すればよい
冷え切った背筋より
心を硬くして
失ったものの重さなど
気まぐれにでも考えないものだ
涙で何か生き返る訳もなく
夢一つ見れるわけでもない

長く見すぎた夢を
アルコールで洗って
不埒な一日を始めるとしよう

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