「燐寸売りの少女」

12月の冷え切った指先で
言葉を拾い集める
かじかんだ手は不器用で
取り落としてはまたつまみ
大切に手のひらに乗せる

手のひらの中では
積もった言葉がカタカタと震え
見つめる私の首は
かくかくと揺らぎ

世界が凍えているから
言葉を燃やして暖を取ろう
12月の夜に
燐寸売りの少女のように

12月のしびれる舌先で
言葉の味を確かめる
結晶した言葉の角は
なめる舌を切り裂き
ただ鉄の味だけが
口の中に広がる

やがて体温で融けた言葉が
口の中に広がり
緩やかなハーモニーを
奏でることを夢見て

12月の寒さはやがて
睡魔へと変わり
少女と私は幸せに眠る

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