「見えぬもの」

切り取られた景色の断片が
フレームアウトの万象の悲哀を思わせ
ソフトトーンに演出された目の前のそいつに
憎しみをぶつけたくなったりする
いつだって外面は美しく
気づく者もいないというのに
さらに暴走を始めたそれらのアンバランス

誰のためでもありはしない
誰のためにもなりはしない

無論見えぬものなど知らねば良いのだ
見えるところだけ見ればよいのだ
だが君
視界の隅に血がにじみついているのが
見えないか

目次へ