「朧半月」

朧半月に
中途半端な未練

か細い月の光は
何の霊力も無く
ただ地上の具象を
ぼんやりと照らし

強くは無い風の中
寒さに晒されて
心はあかぎれ
血がにじむ

闇ではないここに
救いの光は無い
道標の星も
今宵は瞬かない

朧半月に
勝手な愛想尽かし

口当たりの良い
朧月は
本当は無味無臭で
その上誰かの
食べ残しだ

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