「五月晴れ」

木々の緑のほんの隙間でさえ
塗りつぶしてしまうようになだれ落ちてくる
青空
五月は若い命のように
ためらいも恥じらいもなく
街中を行き交う
いつもはうつむきがちに歩く
恥ずかしがり屋の少女の顔さえも
上を向かせてしまうような
五月の日差し
時折吹き抜けていく優しい風などは
まるでもう浮かれきっていて
街角ではかなく破れた恋なんか
この季節には焼け石に水だ

「チッいつのまにか5月だぜ」
などとぼやきながら
頬が笑ってしまった

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