「セピア時流」
セピア色の時流が すべての思い出を 古ぼけた写真のように変えてしまい 私の涙は それらに再度命を与えるだけの力を もはや失ってしまっている おそらく 憂鬱には そんな時間のほうが優しいのだが 霧の消えてしまったこの街では 少し乾きすぎているような気がする セピア色の時流の中で 今日もまた 煙草の煙だけが 無限の変化を続ける
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