「四分休符」
殺してしまった
いくつもの夢の亡霊どもが
夜な夜な
夢枕に立つのだ
おかげで眠れない夜には
言い訳のように言葉を紡ぐが
それでも彼らがそこにいることは
まるで目に見えるようだ
どんな言葉で弔えるという
振り返った視線の先に何が見える
聞こえるだろう
非難の声が
この罪人の顔を
みんがな忘れてくれた訳でもない
絶望はパンじゃない
憂鬱はワインじゃない
ただ餓鬼のごとく喰らうのだ
腹の足しにもならぬ
日々の屈辱を喰らうのだ
このひび割れた仮面ですら
皮膚に癒着するほどの時の流れの後では
何を心配する必要も無い
ましてこの暗闇の中
この顔を見るものはいない
漆黒にひっそりと彫刻のように立つ
四分休符